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　・髪を染めたいページ3

予約していた美容室で笑顔で出迎えてくれたお兄さん。

彼が私の髪を染めてくれるようだ。

「髪染めるのは初めて？」

『はい。』

「そっか。」

『お兄さんは、初めて髪を染めたのはいつですか？』

「俺？俺は、小3の時かな。」

『はやい！』

「だよね。なんで染めようと思ったんだろうね。」

『自分で染めたいって言ったんですか？』

「どうだったかな。覚えてないや。君は？どうして染めようと思ったの？」

『、最後の思い出作り。』

「最後の？」

『あんまり大きな声で言えないんですけど、』

そういうとお兄さんは私の口元に耳を近づけた。

『あのね、私、死のうと思うんだ。一週間後に。』

お兄さんは少し驚いて、でもすぐに笑顔に戻って、

「そっか。」って呟いた。

なんでお兄さんに話そうと思ったかなんて考えなかったし、そんなの答えなんてきっとないんだ。

「じゃあさ、その最後の思い出作り、俺にも手伝わせてよ。」

『え？』

「今日で辞めちゃうんだ、この仕事。一か月ぐらいは俺も好きなことやろうと思ってて。」

『私の思い出作り手伝ったらお兄さんのやりたいことできなくなっちゃうよ？』

「大丈夫。どうせやりたいことなんてそんなにないし。それに俺は一か月もあるし。だめかな？」

『お兄さんがいいなら。一人より二人のほうがいろいろ楽しそうだし。』

「やった。じゃあ、一週間、よろしくね。」

こうしてお兄さんとの不思議な一週間が始まった。