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平野の車の中はこの間と同じ、バニラの香りがした。
『気分、大丈夫?』
心配そうな顔で聞いてくるから、なんかおかしくて
「うん、もう大丈夫」
って半笑いで言っちゃったら
『何笑ってんねん』
って不思議な顔をされてしまった。
マイナスイオンでも出てるのかな、この人
なんだか重かった気分も軽くなって
私は
平野がいるなら、別に帰らなくてもよかった
なんて思いながら外の景色を見ていた。
『なんかあったん?』
「なんにも」
『そっか』
会話は少しだけ。
神宮寺くんもそうだったけど、詳しく聞いてこないのは彼らの優しさなのだと思う。
『なんかあったら言うんやで』
平野は真っ直ぐ前を見たまま、優しい声で言った。
私は涙が出そうになるのを堪えて、何も言わずに頷いた。
家に帰ったら寝よう、なんて思いながら
またもや私は平野の車の中で微睡んでいった。
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きな子(プロフ) - なぎささん» ありがとうございます!(><)更新頑張ります…! (2017年4月22日 20時) (レス) id: d1d8a217a8 (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ - 面白くてハマっちゃいました!(笑)更新楽しみにしてます! (2017年4月16日 14時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きな子 | 作成日時:2017年3月25日 10時