Don't tell me it's over __

5.陣さん ページ5

北人さんと別れてから数週間が経った。



元々あんまり喋らず、あんまり笑わずな自分だったから



ほんとは辛いのも、メンバーの誰にも気づかれていなかった。




はずだった。




今日も撮影が終わり、帰ろうとしていた時だった。





陣さんに呼び止められたのは。




陣『なぁ、樹。』



樹『陣さん…なんですか？』



陣『ちょっと話あんねんけど。いい？』



樹『あ、はい…』



陣さんの後ろをついて行き、誰もいない部屋で2人で横に並んで座る。



樹『それで、話ってなんっすか？』



陣『お前、最近北人と話してないやろ』



樹『え…なんで…』



陣『んなもん見とったらわかんねん。何があったん。』



樹『え…と…』





俺は今まであったことを、全て陣さんに話した。



陣『それで北人はずっと樹と話してないわけやな。』



樹『…はい。飽きたって…言われて、やっぱ俺、そんなに魅力なかったんだって思って。』




つぅっと一筋の涙が零れる。









あぁ、ダメだ。





樹『うっ…』



気分が悪くなる。涙が止まらない。



陣『ちょ…樹？！大丈夫か？！』



少しふらついた俺を、支えるように陣が駆け寄って来る。



樹『は…ぁっ…、大丈夫です…っ。もう今日は帰りま…す。お疲れ様でした…。』



無理やり涙を止めて、部屋から走って外に出る。



それからタクシーに乗って、自分の家に帰った。




帰ってきて服も着替えずに布団に倒れる。



限界だ。

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