悠仁の紳士さを見習え ページ47
その時、私の前に悠仁が。
死にたくねぇ!と叫んでいたのに、何かが吹っ切れたように特級に向かっていく。
走っていく悠仁は一撃入れた。
それは確かに呪力の籠った拳。
でも、でも、今のじゃアイツは倒せない。
絶対に悠仁は殺させない!
その気持ちだけで何とか瓦礫から這い出し後ろに倒して攻撃を躱させるつもりで、悠仁の背中に飛び掛かろうとしたその時。
どこか遠くで犬の遠吠えみたいなのが聞こえてきた。
それはきっと、恵の玉犬の泣き声で。
「……恵?」
ギュッと悠仁の身体に抱き着いた瞬間に、一気に悠仁の雰囲気が変わる。
「つくづく忌々しい小僧だ。…ん?なんだ女、俺に殺されたいのか?」
「ゆ、悠仁…え……宿儺…?なんで今このタイミングで………?」
「お前と言い、小僧と言い、この俺を舐めてやがる…。」
すると私を背負ったまま(勝手にしがみついてる)少し待てと特級の方を叩いて何やら思案する宿儺。
そして何か思い付いたのか、一言。
「おい、ガキ共を殺しに行くぞ。着いて来い。」
「私が背中にへばりついてるのに行かせると思います?」
「貴様みたいな雑魚、むしろ他の奴を誘き出す為の餌だ餌。」
「雑魚…?餌…?」
今このまま首絞める事も出来るんだぞ?と思いつつ動き出した宿儺の速さにビビって動けない私。
宿儺の背中に張り付いて数十秒、あまりの速さに思い切り抱きついている私は、そのスピードに揺られる揺られる。
いや、地面踏み抜くとか嘘でしょ?
途中まで色っぽく特級に向かって頑張れ頑張れ♡って応援してたじゃん!
地面踏み抜いて落ちるとか聞いてないって!!
「いぃぃやぁぁぁ!!」
「煩いぞ女!!」
「全くだ、こんなもので悲鳴を上げていたら天下など努努叶わぬぞ。」
「いや無理!せめて安全装置付けて!?」
地面に着地して切り刻んだ特級を壁に埋めた宿儺はなんか色々と語り出す。
頭がそこまで良くない私は会話のほとんどが入ってきません。
すると、身体を再生しこっちに落ちてきた特級はニヤリと笑った。
「こっち見て笑った!キモッ!」
「嬉しいか?褒めてやろう。」
「馬鹿!褒めたら攻撃してくるだろうが!」
「煩い。」
「ムギィッ」
散々文句垂れてたら遂に口を抑えられたAちゃんです。
見た目は悠仁なのに雲泥の差だ!と思っていると、宿儺は呪いの何たるかを分かっていないと話し出した。
「良い機会だ、教えてやる。本物の呪術というものを。」
「本物の呪術…?」
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2021年11月7日 20時