あふたぬぅんてぃ ページ36
お持ち致しました、と爽やかな笑みを浮かべたウェイターさんがアフタヌーンティーを持ってくる。
下から季節の野菜を使用したナンチャラのサンドイッチですと説明をしていくがちっとも分からない。
そんな自分を見せないように相槌を打って居たら、目の前のゴジョセンがバカにするように私を見て笑っている。
「何も分かってないのに相槌打ってたでしょ。」
「私の大人な対応を笑うな28歳児。」
頼んだ紅茶を飲みながら睨むと、可愛くてねと余計な一言を添えるゴジョセン。
これが二人きりだったらセクハラで訴えられてるぞお前。
「小娘、これはどう食うのが正解だ?」
ちっとも手につけようとしなかったのぶちん。
一番楽しみにしてたと言っても過言ではなかったのに何故、食べないのかなと思っていたけどまさかの食べ方が分からない。
確かに普段は私が渡していたしなぁ。
「のぶちん口開けて。」
「ん。」
「はい。」
いつもの様に食べさせてあげた後に気が付く。
今は憑依してるから秀斗だし、目の前にはゴジョセンが居ることに。
恥ずかしいと思い始めたらみるみると顔に熱が集まる。
「あのー、僕がいる前でイチャつかないでくれます?」
「無意識すぎたゴメン。」
「……僕にもしてよ。」
ほら♡と顔を近づけて来るゴジョセンにうるさいと顔を背ける。
のぶちんにはゴジョセンの食べ方を見て真似してと言って私も目の前のキラキラしたスイーツに手を伸ばす。
口を付けると口の中に広がるクリームの甘みと、苺の酸味のバランスが最高に美味しい。
「何これ美味しすぎるっ…!」
「でしょ、ここのオススメはタルトだよ。」
「私タルト大好き!」
おちゃらけた態度とは裏腹に、凄く上品な仕草で綺麗にケーキを食べるゴジョセン。
美味しい!と目をキラキラさせる私を見て満足気に笑っている。
「……つまらぬ。」
「っえ?」
「甘味は美味い、ここの従者達の働きも良い、臨む景色も悪くは無いのに何だこの気持ちは?非常に不愉快じゃ。」
「のぶちんに分からないのに、ガキの私がわかると思う?」
「小娘に分かるなどハナから思っておらんわ。」
ふむ?と言うのぶちんと、うーん?と言いながら見詰め合い、同じタイミングでケーキを口に入れる私達。
分からないけどケーキは美味しいねと訳の分からない感想にそうじゃなと返事をするのぶちん。
そんな私達を見ていたゴジョセンは、少し呆れたように
「仲良しだねホント。」
肩を竦めて笑った。
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2021年11月7日 20時