来たれ仙台! ページ26
「特級呪物?の回収でしょ?私必要だった?」
「お前はまだ日が浅いから、見学ついでだろ。」
のぶちんに小分けのチョコを食わせながら新幹線で移動すること数時間。
仙台に着く頃には日も暮れて夜。
「保管が百葉箱…ザル過ぎでしょ。」
危ないんでしょ?その呪物、と恵に聞くと危ない所じゃねぇと言いながら百葉箱の扉を開けた。
「…空?」
「は?空!?」
織田も探せ!と百葉箱の周りを探すが何か落ちている気配は何も無い。
恵はゴジョセンに電話をかける。
空っぽだと恵が伝えると、ウケるね!夜のお散歩かな!と帰ってくる返答。
私は思わず百葉箱がバキッと音を立てるくらい握り締めていた。
聞こえてんだよ!クソ教師!
「今度マジで殴ろう…。」
「恵、ゴジョセンなんて?」
「見つかるまで帰ってくんな、だと。」
「あー…それはフルボッコ案件だわ。」
明日もう一度来るぞ、と恵に声を掛けれられあいよ!とその場を後にする。
するとさっきまで大人しかったのぶちんが、急に喋りだした。
「小娘、今から言う所へ向かえ。」
「は?もう夜だよ?明日も早いのに面倒臭い。」
「口答えするな、今から言う所へ向かえ。次は無い。」
感じた事の無い冷たい雰囲気に、分かったと言って恵と離れやってきたのはお寺の中にある墓地。
「夜に女の子連れてくる所じゃないって!!」
怖っ!と怯えながら先を進むのぶちんに着いていくと、一際でかいお墓の前で止まった。
私も隣に並ぶように止まると、お墓を眺めるのぶちん。
「ここ、伊達政宗のお墓で有名なところじゃん。」
「政宗…?ああ、輝宗の嫡男か。」
誰?と疑問を浮かべる私を無視してのぶちんは語り出す。
「此奴が儂に献上した鷹は格別だった。もう少し早く事が進んでいれば臣下になっていた男よ。」
「ふぅん…?」
「ま、噂ではその嫡男が猛反発していた話もあるそうだがな!それはそれで面白い世の中になっていたやもしれん。
…世は平和だ。暫し休め、輝宗公。」
帰るぞ小娘と来た道を先に戻るのぶちん。
少し申し訳なさそうに笑っていたのを、私は見ないふりしてあげた。
「モナカアイス買ってあげてもいいよ、のぶちん。」
「む?気が利くではないか小娘!宜しい、儂にすとろべりぃ味を献上する事を許す!」
「はいはい、コンビニ寄って帰ろうね。」
「ぐみを献上する事も許してやろう。」
「のぶちんが食べたいだけじゃんそれ!」
観光どころじゃなくなる日まで後、一日。
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2021年11月7日 20時