第二のパパ ページ22
「こんな所で何をしているんだ、A。」
「まさちん。」
共有スペースに向かう途中、星が綺麗だなと導かれる様に外へ出た私。
折角作ったのに、冷えかけのご飯を一人もそもそと食べながら空を見ていると後ろからまさちんの声が聞こえた。
「…お前、この量を一人で食うつもりか。」
しかもそんな格好で外か、と怒気を含んだ声に更に肩を竦める。
食欲も湧かないし、まさちんに押し付けようと仕舞おうとした時、隣にまさちんが座った。
ポンポンと私の頭を撫でながら。
「私も久々にご馳走になるかな。」
「まさちん、私ってキャラじゃないじゃーん。」
いいから寄越せと手を差し出されるから、ハイと生姜焼きが入ったタッパとおにぎりを渡す。
おにぎりの具はコンブ。
コンブも手作りで、パパにもまさちんにも好評だった奴だ。
「誰かと食べるつもりだったのか？」
「同級生恵しか居ないし、恵と食べたかったんだけど…断られちゃった。」
えへへと笑うと、まさちんは今日の事をパパから聞いていたのかワシワシと頭を撫でて来る。
大きな手は昔から変わらない。
少し強過ぎて頭がボサボサになる力加減は相変わらずゴリラだし、重いし、痛くて温かい。
「もー！崩れる！」
「最初の頃と見違えるぐらい上達したな。」
「美味しい？」
「美味い。」
やった！と嬉しくなった私は次々におかずを差し出す。
これもうまくいって、これもね！と説明しながら押し付けると、早い！と怒られた。
「悟の提案を断ったそうじゃないか。」
「悟…？ゴジョセンの事？」
「あぁ。」
どうしてだ？と聞いてくるまさちんの声はどこか悲しそう。
「私だって死にたくないけど…私だけ安全な道に進んでも、まさちんや恵、ゴジョセンが危ない道に残って戦い続ける現実から目を背けるのはもっと嫌なだけだよ。」
それに私はのぶちんが守ってくれるし！と笑うと、やっぱり優しいけど悲しそうな目をして私を見ていた。
「米が付いてるぞ、もう16だろう。」
「マジ！？うわー！恥ずかし！」
残りは持って帰ると、タッパを持って立ち上がったまさちん。
「まさちん、私もう、パパも皆も傷付けたくないんだ。」
「その為に俺が監視下に置いているし、高専に入ったんだ。お前に覚悟があるならの話だがな。」
「…うん、ありがとう！なんか元気出てきた！」
私も立ち上がりまさちんを見送る。
あ、そう言えば
「パンツとブラの畳み方、次気を付けてね！」
「Aッ！！」
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作者名：恋＠眼鏡 | 作者ホームページ：http://sukinaharahasakuradeui
作成日時：2021年11月7日 20時
