まるで別人 ページ14
五条side
「庭に出ろ。ぶん殴ってやる。」
瞳孔をギラギラとさせて僕を見つめる可愛い教え子。
コレを待ってたんだよ、と内心ニヤリとしながらいいよーんと返事をする。
Aのお父さんが溜息を一つ吐いた後、裏山でお願いしますと通されたのは驚く程だだっ広く何も無い平野。
ここで昔稽古をしていたのだと教えてもらい、その場を借りることにした。
帳を__と思ったら既に張り始めていたお父さん。
張られた直後にAは真っ直ぐ僕に飛んできた。
「ッハハ!僕に打撃は届かな」
「____だからどうした。」
ッパァン!
何かが弾ける音と共に腹部に感じる感触。
痛くは無いがそれよりも目の前の事に衝撃を隠せない。
____は?無限が破られた?
「五条先生に、拳が入った…?」
「A止めろ!落ち着け!」
「っうぐ…ゴァッ!」
ボタボタボタッと口から血を流すA。
そんな事何だと、ものともせず爛々と目をギラつかせる目の前のAは呪力の質もまるで別人。
「お前まさか…!チッ、やっぱり!!」
Aのお父さんが見つけたそれは三つのサイコロ。
大きいのが二つと小さいのが一つ。
出目は6・6・8と余りにも大きい数字で、体が呪力に適応出来ていないのは見て取れる。
「たかが
「!?」
ぶわ、と感じたのはいきなり現れた大量の怨霊の気配。
どれもこれも戦国時代の武将のような格好をした骸骨兵ばかりだが、Aを先頭に隊列を組んでいるのが見て取れる。
ただの女子高生だった筈の彼女の目は憤怒で燃え盛るような色を携えて真っ直ぐに僕を見抜いていた。
「領域展開!?」
「呪力で押し切っただけの力業だ!このままだとAが死ぬ!」
恵!と声を掛けたら直ぐに玉犬を呼び出す恵。
体もボロボロ、あまりにも荒削りで無鉄砲にも程があるが、どこか余裕めいた笑みを浮かべる目の前のA。
いいや、今の彼女は彼女じゃない。
「恵、もう分かってると思うけど今のAはAじゃない。」
「分かってます。」
「生まれ変わりなのか、守護霊なのか…随分まぁ、厄介なのに好かれちゃって。」
周りを炎が取り囲み辺りからは矢が飛んで来る。
何よりも目の前の隊列が手に持っているのは今では珍しい火縄銃。
「構えよ!この儂を誰と心得える!」
「今助けるからね、A。」
「第六天魔王、織田信長じゃあああ!!!」
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2021年11月7日 20時