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VNside
「箸、箸…。」
「すぐそこにあるでしょ?セギさん。」
暫く他愛ない話をしていた時の事だった。
右手の少し手を伸ばせば届きそうなところにセギさんの箸があるにも関わらず箸を見失っていた。
しかもありがとうと言われてから箸を掴むまで、まるで距離感が掴めていないように何回か手が空を切っていた。
おかしい。
何かが、おかしい。
「セギさん、なんで箸見失ってたの?」
自分で置いて居たのに。
そう伝えると、ヤバいって顔をした彼女が目の前に座っている。
スンチョリヒョンは何か心当たりがあるのか、怪訝な顔をしている。
ミンギュヒョンとウォヌヒョンはお肉を食べながら、セギさんの方をチラと見ている。
「いや、ほら、無意識に置いたら分からないもんだろ?灯台下暗しって言うしな。」
「でも、少し探せばすぐわかる場所だったよ。」
話をまだ続けようとした時、店員さんに呼び止められる。
食べ放題の時間だと告げられた。
会話の途切れを見逃さなかったセギさんはすぐさま席を離れようとする。
いけない。
このままだとまた、あの時と同じことの繰り返しな気がしてしまう。
そう思ったら反射的にセギさんの腕を掴んで外に連れ出していた。
スンチョリヒョンも連れて。
不思議とミンギュヒョンとウォヌヒョンは驚いた顔をしなかった。
「ちょちょちょ、ハンソル君。どうした?」
「まだとぼけるつもり?」
「………何の事だかさっぱりなんだが?」
「セギさん、見えてないだろ。」
右目。
そう言うのはスンチョリヒョン。
そして俺も頷く。しっかりと彼女の瞳を見ながら。
思いきり肩を揺らしたセギさんは、なんだか先程までの威勢の良さは消えていて
とても小さく見えた。
「み、見えてるさ。」
「嘘だ。距離感をつかめないのも、視野が狭まっているのもそう考えれば不思議じゃない。」
俺たちから顔を逸らそうとするセギさん。
金の糸が彼女の顔にカーテンをかけるかのようにサラサラと落ちる。
まるで計算していたかのように隠される右半分の顔。
そこでふと、先日の舞台挨拶の髪型や被っていた帽子を思い出す。
確かに右の額を隠すような髪型や帽子ばかりだったような気がして。
そっとセギさんに近寄り髪をそっとかき上げると、そこにあったのは驚きの色をした黒曜石のような瞳と
腫れてしまっている額があった。
「これどうしたの?セギさん。」
「いや!た、たん瘤なんだよこれ!」
「セギ、嘘は良くないよな?」
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ぴ(プロフ) - 最高でした… (2月29日 6時) (レス) @page50 id: 9dcff58a0e (このIDを非表示/違反報告)
恋@眼鏡(プロフ) - jsmn579733371さん» ありがとうございます〜!顔が好みすぎてお亮さん拝借しました笑 (2020年4月12日 0時) (レス) id: a273382bf7 (このIDを非表示/違反報告)
jsmn579733371(プロフ) - 主演俳優枠が吉沢亮なのがツボすぎて! (2020年2月20日 2時) (レス) id: bc3a6c1f44 (このIDを非表示/違反報告)
恋@眼鏡(プロフ) - かとれあさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しい限りでございます泣 これからも頑張りますね! (2020年2月18日 21時) (レス) id: a273382bf7 (このIDを非表示/違反報告)
かとれあ(プロフ) - やさぐれ姉さん大好きです(*´˘`*) (2020年1月27日 5時) (レス) id: 3fa9c6cc95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2019年9月22日 8時