分からない(JH) ページ31
JHside
「まぁ、君らなら見届けてくれるだろ?私の最期で最大の作品を。」
そう笑うセギ。
待てよ、理解できないって。
「最後ってどういう事だよ。お前、せっかく波に乗ってるのに、こんなすぐ芸能界から引退するつもりか?」
俺らが見送った意味ってなんだったんだよ、そう怒りを込めて言ったつもりだった。
そんな俺の気持ちを見透かしたかのような、少し悲しげな笑みを浮かべたセギ。
分からない、なんでそんな悲しそうに笑うんだよ。
お前またなにか隠してんのかよ。
「落ち着いて、ハニヒョン。」
「お前はいつもそうだ。何もかも隠したがる。」
悪いな、と申し訳なさそうに小さく呟くだけで教えてはくれないセギ。
酔いが回っているせいだ。
思わずセギに手を伸ばして、腕の中に収めたのは全部お酒のせい。
「俺にすら、言えないのかよバカセギ…。」
俺にくらい言ってくれよ、そんな気持ちが心の中をぐるぐると巡る。
俺があの日コンビニで見つけたセギ。
俺が最初に見つけたセギ。
目付きは悪いし口も悪いが、どこか不思議な雰囲気を持ってて、変な奴だなとしか思ってなかったのに。
何時からか大きな存在になっていた。
気付いてはいけないと、これ以上踏み込んではいけないとわかっていたのに姿を消されて、より自覚してしまう。
「…もう、私はお前らにこれ以上悲しい顔させたくないんだ。」
分かってくれ、と笑うから俺はただ頷くしか出来なかった。
「今はわかってやるよ、仕方ないからな。」
「ごめんねセギさん。ハニヒョンだいぶ酔ってるっぽいから。」
「大丈夫だよ。」
ハニヒョン、ほら離れて。とソクミンに肩を叩かれるが一向に腕を離さない俺。
今手を離したら、もう二度とこの温度を感じられない気がする。
そう思うと何だか離し難くて。
「このまま連れ去ってやろうかな。」
「お巡りさんこの人です助けて下さい。」
「もー、ハニヒョン!」
コラ!と腕を引き剥がされる。
するとタイミングよくタクシーがやって来た。
「……ありがとうな。君らには感謝してもしきれないよ。」
「気にしないでセギさん。僕らの仲だからね!」
「優しいなソクミン君は。オネーサンによろしくな。」
止めろ、今離したらもう二度と会えないんだぞ。
セギ、セギ。
俺はまだお前にまだ伝えてない事がある。
「離せ〜ドギョマ〜!」
「タクシー乗っていいよセギさん。」
「ありがとうな、お疲れ様。」
そうしてセギは、去っていった。
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ぴ(プロフ) - 最高でした… (2月29日 6時) (レス) @page50 id: 9dcff58a0e (このIDを非表示/違反報告)
恋@眼鏡(プロフ) - jsmn579733371さん» ありがとうございます〜!顔が好みすぎてお亮さん拝借しました笑 (2020年4月12日 0時) (レス) id: a273382bf7 (このIDを非表示/違反報告)
jsmn579733371(プロフ) - 主演俳優枠が吉沢亮なのがツボすぎて! (2020年2月20日 2時) (レス) id: bc3a6c1f44 (このIDを非表示/違反報告)
恋@眼鏡(プロフ) - かとれあさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しい限りでございます泣 これからも頑張りますね! (2020年2月18日 21時) (レス) id: a273382bf7 (このIDを非表示/違反報告)
かとれあ(プロフ) - やさぐれ姉さん大好きです(*´˘`*) (2020年1月27日 5時) (レス) id: 3fa9c6cc95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2019年9月22日 8時