やさぐれ姉さん。3【SVT】 (ページ11)

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夢（DK）ページ11

DKside

唐突だが、僕には夢がある。

話出せばキリがないだろうからその夢の幾つは割愛し、最近特に思う夢。

それはミュージカルに出てみたい。

この夢への願いが強くなればなるほど、携帯の動画サイトで演劇関連を視聴する様になる。

そんなある日、またいつものように動画を漁っている時に数あるミュージカル動画の中から見つけたのは

セギさんと思しき子役が出演しているというミュージカル。

なんと、韓国語の字幕付き。

最近静かだと思っていたミンギュがまた興奮して「セギが！」と煩くなったのは記憶に新しい。

好奇心で見てみる事にした。

「…凄い。」

視聴数分で出てきたセギさん。

出てきた瞬間から雰囲気が変わったのだ。

纏う雰囲気、発声、視線に仕草、そしてミュージカルのメインである歌声も申し分無い。

むしろこの上手さならば歌手としても…と思えてしまう程だ。

しかも子役時代で、この実力。

その後動画の後半はビハインドと言うなの練習風景が映し出された。

そこに映っているのは何度も視線や表情、歌の音程や声量を念入りにチェックしているセギさんの姿が。

台本をチェックしながら何度も何度もだ。

カメラに気付くや否や顔を恥ずかしそうにし、『ちょ、撮るの辞めてくださいよー！恥ずかしっ！』と笑っている。

その笑顔は年相応。

スタッフさんが台本を見せて欲しいと言うと、ちょっとだけですよと見せてくれるセギさん。

そのチラと見えた台本には夥しい量の書き込みがしてあり、よく見れば台本もボロボロだった。

何より驚いたのは、その台本はもう三冊目だったらしい。

「これが、天才子役時代のセギさん…か。」

思っていた以上にストイック且つ努力家。

完膚なきまでに自分を殺して役になりきれてしまうその才能の裏に

どれだけのプレッシャーと、努力があっただろう。

どれだけの責任と重さがあったのだろう。

幼少期から14歳までその小さな背中にどれだけのモノを背負っていたのだろうか。

「……本当に演技が好きなんだろうな…。」

画面の中の幼いセギさんの姿はとてもイキイキしている。

それはとても楽しそうに。

この姿を見れば見るほど、何故こんなにも演技が好きな人が声と演技を奪われなければならなかったのだろうか。

僕が歌と声を取られたらと思うと、恐ろしくて考えたくもない。

セギさんは今、何をしているのだろうか。

「僕がミュージカル決まったら演技のアドバイスを聞こう。」

夢が、また一つ増えた。