【#コンパス】半人半機の電脳少女 (ページ19)

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ファイル69 イワイページ19

小鳥のさえずり、なんともメルヘンな朝だ。

私にこういうのは似合わんのだが。コクリコットならぴったりだろう。

割とどうでもいいことを考えながらまだ布団にしがみついていたいと駄々をこねる体に喝を入れ、布団を蹴散らす。
なんとも女っ気のない朝なこった。

「っこいしょお...っあー...ねたい.....」

キレの長い目が細められ、欠伸をするチーターの様にさらに細める。

今日は珍しく自室で寝た。
久々にアンジュに身機問診を書いてくれと頼まれたが故に、なかなか人がいると作業が止まってしまう。

背中の充電部分。
目の乾きやピント調節が良好に行えるか。戦闘時、戦闘の妨げになるような機械のバグと思われるもの。事細かに問われる。
それを自分で見たり触ったり、もちろん体感したのも一つ残さず書く。

.....きっと今日は一日中、アンジュの工場でメンテナンスだろう。

背中の穴から神経、コード、液体電力管等に電力等を流し込み、私の命を繋ぎ止める。
ここに来て何度目の作業なのか。疑問が浮かぶがかき消した。否、正確に言うと眠気によって思考回路までふわふわした霧にフィルターをかけられてしまった。

「Aさーん、寝ないでくださーい？」

『んー、ん、ん...んぅ...』

「もう...Aさん、うつ伏せになるのでいいのでしたら寝ながらメンテナンスに致しましょうか？」

『頼む...』

...寝れる、嬉しい。

なにこれなにこれ。...なにこれ。

「さぁ！今日は沢山飲むわよ！」

なぁんで、なぁんで？おかしいよ、ねぇおい。

「我が鋼の体を見よ！」

「きゃー！やめてください！もっと見せてください！」

なんて矛盾だ。

「...！ただおみ、おまえせなか...傷出来てるぞ…...、毒を塗ってやる」

「ぬぅわぁっ、止せ！やめ、どぅわぁぁぁ！」

そりゃそうだよな。模範解答だよ。どぅわぁぁって。私でも多分なるよ。

「Aさんは飲みませんの...？」

目の保養がやってきた。

『ああ、飲むさ。...にしてもこれは一体なんの祝祭だ？』

「ええ？存じておりませんの？あなたの誕生を祝っているのですよ？」

『っえ？』

やめて、皆固まらないでくれ。

『わ、わぁ！そうだったのか！あ、いや違う。そうそう！今日は...私のぉ...たん、誕生日だったなぁ！』

「A...忘れてたのか」

『いやぁ！ジャスティス！違うとも！うん、違う！』

「...では皆で！」

「「誕生日おめでとう！」」

『ふふっ…』

変な時間だ。有意義な時間だったがなぁ。