知らない場所 (ページ5)

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まだ寝ている頭を起こしながら昨日会ったことを振り返る

Aとぶつかって、家に入れてもらって、一晩過ごして…

なんだこのドラマみたいな展開

でも俺が起きた場所は昨日いたリビング

そこは普通ベッドだろ、添い寝だろ

そんなこと考える俺は意外と夢見がち

時計に目を向けるとまだ朝の8時

日によって収録が始まる時間は違うから起床時間も

就寝時間も不規則

改めてお前はアイドルなんだと芸能人なんだと嫌で

も思い知らされる

俺だって規則正しい生活送ってみたかった

スーツ着て満員電車乗ってパソコンとにらめっこ

すごく憧れる

寝室らしき部屋の扉が開いて目をこすりながらAが出てきた

A「起きてたんだ」

『今さっき起きた』

A「私これから仕事だから」

『そっか』

なんか…恋人みてぇじゃん？

シンデレラ的な感じの恋愛を求めていない俺からし

てみればこれが本当に理想の恋愛

A「じゃ、行ってくるね。外出るときは鍵かけて」

『わーてるって』

A「ふふっ行ってきます」

『いってらっしゃい』

このやりとりができる日が俺にもくるなんて

いつもは7人全員一緒の時間に出て帰るの繰り返しだ

から久しぶりに聞いた言葉にテンションが上がる

Aが出ていった部屋はどことなく静かで

特別2人で盛り上がった話をしてたわけじゃないけど

なんとなくAがいるだけで華があるっていうか

そういう雰囲気の持ち主

『暇だな…』

Aの部屋に興味はあるが物色なんてしてたら

不審者すぎるだろ

とりあえず寝るか

どうせここに長くはいられない

ということは一日中自分の好きなことしたりする日

もなくなる

起きてからまだ3時間しか経っていないにもかかわら

ず落ちてくる瞼に負けて深い眠りに入った

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