密室、暗闇、二人きり。【そ.ら.る】 (ページ33)

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『そらるさんのどこが好き？』

『ぎゅーってされたら落ち着いた』

『ぎゅーってされたってどゆこと！？
えっいつ！？どーゆーシチュエーション！？！？』

『いい匂いがして、もっとして欲しいって思った』

『聞いちゃいないよこの子！！！』

.

話しているうちに胸がぽかぽかと温かくなって、顔がすっかり火照ってしまった。

それを見てまふくんは「ちょっと待って……いや、なんか片想いの女子大生ってボクと違う世界だ……」と両手で顔を隠して呻いていた。なんなんだあの人。

とりあえず会計の際に言われたのは、Aさんならそらるさん預けてもいいかも、という言葉。

そらるさんの相方と呼ばれる彼に優しい笑顔でそんなこと言われたら、なんとも言えない嬉しい気持ちになる。

「……信用されてるってことでいいのかな……」

自惚れているだろうか。そらるさんもまふくんも他意はないのかもしれない。でも嬉しい。

マスク越しのまふくんの優しい笑顔を思い出して感じた。そらるさんは優しいから、私をドン引いたりしないだろう。その代わり、困ってしまうんだろうな。

酷く振られるのは嫌だ。でも、困らせるのも好ましくない。

「そういえば……そらるさんからしたら、私なんかガキンチョだよなぁ……」

何歳差？もうすぐ30って言ってたな。十歳差くらいか。まあ無いことは……無いはず。そう思いたい。

風呂から出てきて丁度、通知音が小さな振動とともにLINEのメッセージを伝える。ついさっき分かれたばかりのまふくんからのものだった。

『おすそわけ～♡』

その下に添付されていたのはそらるさんの綺麗な寝顔。

一瞬フリーズして髪を拭いていた手が止まる。
ひい………何この美しい寝顔…………尊み………。語彙力の低下が著しいことこの上ない。

少し幼く見えることで可愛くもあり、長い睫毛に白い肌から美しくもある彼の寝顔写メを保存したい気持ちを何とか堪え、目に焼き付けるだけにしてしておいた。

ほんとうはロック画にしたいくらいだった。