密室、暗闇、二人きり。【そ.ら.る】 (ページ28)

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「砂糖とミルクどうしますか？」

「両方いらないよ～」

少し疲れたふうに見える彼の顔を見て咄嗟に、うちでひと休みしませんか、と言っていた。

夕焼けがバイバイと言っていたけど、少しくらいならいいかなって。彼はいいの？と困ったように笑った。

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「Aさんのねぇ、こーゆーとこが無防備だと思うんだよ～」

「…？なんの話ですか？」

「男をホイホイ家に上げちゃダメだよってこと」

「まふまふさんだからいいんじゃないですか？」

「………無防備すぎる…………」

何やら頭を抱えている。とりあえずその顔を隠す用であろうでかでかとした帽子をお取りになってはいかがだろうか。

カウンター越しに見えるそんな彼から視線を落とし、計量スプーンで粉を掬いとる。インスタントで申し訳ないが長居させる訳にも行かない。

沸騰したお湯を入れ出来上がったコーヒーをまふまふさんの前に置く。

彼はじと、と私の顔を見上げた。

「……なんですか」

「…美人さんってみんなこうなのかな」

「なんなんですか」

もしかしてディスられてんのか。
でもまふまふさんはそらるさんと違って直球に美人って言ってくるな。嬉しいけど私は美人じゃない。

ちょこんと正座してコーヒーを啜る彼の頭の帽子をはぎ取る。彼は少し驚いていたけど、気にせずそのまま客人用のポールハンガーに掛ける。

再びまふまふさんの向かい側に座った時、彼は少しばかり首を傾げて言った。

「…Aさんて、そらるさんのこと好きですか？」

コーヒーは吹かなかった。

「急に」

「いや、ちょっと気になって」

切れ長な私の目と違い、くりくりとした愛らしい目で私を見つめるまふまふさん。

口角は少し上がっている。これはアレだ、もしかしなくても茶化されているな。イイ感じの男子と女子に「ちょっと、アイツとどうなのよ～」って言ってるJKのノリだ。

顎に手を当てて考える。まふまふさんの言っている「好き」がどういうベクトルの好きなのかは分からないし、私のそらるさんが「好き」というものと別物かもしれない。

うーん。いやでも好きは好きだしなぁ。

「好き…です」

「おぉ！！！」

「初めて見た時からかっこいいなって思ってました」

「脈アリ！！！！」

脈アリ…………？？？？

私が訝しげに口を結んでも、まふまふさんは気にも留めずに「すっきりした！コーヒーごちそうさまでした！」と笑顔で帰って行った。