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Aside
私は彼の弱いところを知ってるわけじゃないし彼のすべてを知ってるわけじゃないけど彼に会うたびに彼のことを知りたいと思ってしまう
樹「そろそろ帰る?」
あ「ですね」
机には生ビールのジョッキが何個も置いてある、お会計は樹さんが済ましてくれて人が通らなくなった道を二人で夜風に当たりながら歩く
樹「ねぇ、この公園覚えてる?」
そう言って樹さんが指差した公園は私がいつの日か樹さんに電話して会いに来てくれた公園だった、覚えてますよって私は彼の問いに答える
樹「酔い覚ますためにちょっと寄ってかない?」
二人で公園のブランコに乗って何か喋るわけでもないただ心地いい時間が流れる、しばらくの時間が経つと樹さんが口を開いた
樹「あんさ」
あ「ん?どうかしました?」
樹「北斗からも聞いたかもしんねえけど俺女遊びが激しかったんだよ」
あ「はい」
樹「彼女がいるのに違う女と寝て別れて、そっから俺は特定の女を作らないようになった」
あ「…最低ですね」
樹「うん、最低だなって自分でも思うしメンバーにもあとで痛い目遭うぞって言われてる」
あ「だと思います」
樹「でも俺あの日Aちゃんに会って目を見たとき守りてえなって素直に思ったんだ、Aちゃんのこともっと知りたいって思った
Aちゃんになら弱い自分を見せても大丈夫だって思えたしこの人と生涯一緒に居たいって思えた、俺こんな気持ちになったの初めてなんだよ
Aちゃんが傷ついてるときは一番近くにいたいし俺がしんどいときもそばにいてほしい、Aちゃんと一緒に隣で笑いあっていたい
俺の全部を受け止めてくれるのはAちゃんであってほしいしAちゃん全部を受け止めるのも俺であってほしいって思ってる」
樹「Aちゃんが好きです、俺と付き合ってくれませんか?」
そう言った樹さんの声はいつものチャラい声じゃない真剣な声だった、私は告白された嬉しさに泣きそうになるのを堪えながら震える口を動かした
あ「私は樹さんと出会えてよかったです、でも樹さんが今までの女性にしたことはきっと誰が聞いても最低だって返ってくると思います
私は樹さんに出会って樹さんのことを知りたいって思ったしなにがあっても樹さんの味方でいたいって思いました、樹さんがしてくれたように
樹さんはきっと繊細だから、弱いところは見せないようにするし我慢もたくさんするだろうから、私が樹さんのそばで大丈夫って言ってあげたい」
あ「私で良ければお願いします」
その言葉を紡いだ瞬間樹さんの腕の中に閉じ込められる、やがて離れて見つめ合いながら月明かりの下二人の唇が重なり合った
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作者名:ゆっぴー | 作成日時:2023年12月10日 21時