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樹side
『永遠の愛とか誓いたいよね』メンバーの京本大我から問いかけられた言葉に俺はこう答えていた
俺はプライベートで一人の女に家族とか前にして永遠の愛誓えねえから無理だわって
捉え方によれば最低に見えるが23年生きてきて女に困ることはなかったし生まれてから今の今までずーっとモテ続けてきたと言っても過言ではない
女1「また飲もーね」
樹「ん、」
""また""なんて俺の中では存在しないのに目の前にいる女は俺との""また""を期待している、どうせ俺じゃない本命の男がいるくせに
またね、なんて言って店の前で別れて俺はまた違う店で別の女と飲む、メンバーからも後で痛い目見るぞって言われてるけどなんか辞められねぇ
昔付き合っていた女とは俺の浮気が原因で別れた、好きな女がいるのに欲を抑えられず一夜を過ごしてしまったなんてこと一度や二度じゃなかった
だから振られた、でも彼女に別れを切り出されたとき俺って最低なんだなって思うのと同時に俺は本気で女を好きになれねえんだろうなって思った
女2「今度家きてよー」
樹「考えとく」
ほんとは何も考えてねぇしもう会うつもりもない、連絡先は家に帰ってすぐブロックするから俺は女の話に適当に相槌を打って酒のグラスを傾ける
女2「じゃあ、またね」
樹「ん」
店を出ると雨が降っていた、人混みの中ふと振り返ると一緒に飲んでた女は俺とはタイプが違う浮気なんかしないだろう男と車に乗り込んでいった
俺は近くの店でビニール傘を買って夜のネオンが光る街を一人で歩く、すると前の方を傘も差さずに歩いていたスーツ姿の女性が目に入った
樹「傘ねえんかな」
ひとり言でそう呟く、すると前から歩いてくる中年の仕事帰りで飲み会が終わったあとなのかフラフラした男が前の方を歩いていた女にぶつかった
その弾みで女が転んだ、周りは気づいているのに気づかないふりをして女の前を素通りしていきぶつかった男も何食わぬ顔で女の前を素通りした
カバンから資料みたいなのが雨で濡れた道路に散らばっていく、俺も何も知らないふりをして素通りすることができたはず、だって知らねえ女だし
なのに俺はその女が資料を拾っているのを見て俺も傘を閉じて道路に散らばった資料を拾っていた、自分でも何してんだろって思う
樹「おねーさん、大丈夫?」
そう声をかけたとき初めて顔を上げた女は大きな目から涙を零しながら大丈夫ですってぜってえ大丈夫じゃねえのに笑ってそう言った
あ「すいません、ありがとうございました」
そう頭を下げた女、いつもの俺だったら引き止めたりなんてしないのに出た言葉は「ちょっと待って」だった、女は驚いた顔でこちらを向いた
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作者名:ゆっぴー | 作成日時:2023年12月10日 21時