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樹side

樹「Aちゃん?なんかあった?」

あ『…じゅりさんっ、』

何度も俺の名前を呼ぶ声と嗚咽を堪えているのか鼻をすする声が聞こえる、ときおり聞こえる後ろの雑音が俺の胸をざわつかせる

樹「どこにいるの?」

あ『家に一人でいるの寂しくて今は公園です』

樹「俺もその公園行くから位置情報送って」

あ『え?あ、樹さんが心配なら今から家帰りますから』

樹「話すなら直接顔見てえの、でも俺が行くまで通話は繋いどいてね」

送られてきた位置情報まで歩いて向かうと数十分ほどでベンチに座った彼女の姿が見えた、俺に気づいた彼女は通話を切って控えめに手を振った

樹「お待たせ、久しぶりだね」

あ「はい、お久しぶりです」

暗くてあんまりよく顔は見えないけどたぶん綺麗な顔して笑ってる、俺はAちゃんに会えた嬉しさで顔がニヤけていると思う

樹「話は?なんかあったんでしょ?」

あ「元カレ、のことなんですけどいいですか?」

樹「ん、いーよ、いくらでも聞くよ」

あ「陽太の浮気初めてじゃなかったんですって、浮気相手が今日仕事場に来て夜に話したいことがあるから家に来いって言われたんです
それでさっき言ったら相手の家に陽太もいて、それで相手に身体重ね合わせたのも初めてじゃないって平気なフリして家出てきちゃいました笑」

樹「Aちゃんさ、もっと頼っていいんだよ」

あ「…え?」

樹「頼るのも助けてっていうのも恥ずかしいことじゃないから、いつでも俺が助けに行くから言って?」

あ「じゃあいつか樹さんが助けてほしいときも言ってください、貸しは必ず返しに行きますから」

樹「ふはっ、ありがとう」

こちらこそって彼女が笑ったから俺も釣られて笑ってしまう、こんな何気ない些細な時間も彼女となら安心して穏やかに過ごせる

あ「じゃあ送ってくれてありがとうございました、お話も聞いてくれて」

樹「ん、今度は飲みに行かない?」

あ「バレないようにしていただければご一緒させていただきます」

樹「じゃあまた連絡する、おやすみ」

あ「おやすみなさい」

俺の方から振った手に彼女も振り返してくれる、彼女との""また""のおかげで多少の辛いことも乗り越えられるような気がした

A今日はありがとうございました、樹さんとお酒飲めるの楽しみにしています
俺もAちゃんと酒飲めるの楽しみにしてる

単純なやり取りなのに俺は家で一人でニヤけている、恋をすると人間は変わるって言うけど本当に乙女みてえになるんだなと思った

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作者名:ゆっぴー | 作成日時:2023年12月10日 21時

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