大好きなあなたへ~second~

馬鹿 ページ28

柚紀「A、貴方...まさか一緒にいることが彼の負担になってると思ってるの？」

A「...っ」

有り得ないというように眉間にシワを寄せて目を見開く柚紀さん。

だって、そうじゃないですか...。

A「だって...達さんは人気声優ですよ？ OCDのお仕事もあって忙しいのに、私のこともほったらかさないで、こまめに連絡もくれて...」

嬉しいことだ。

全部、幸せなこと。

だけど、それらが全部達さんの負担になっているのではと思うと...どうしても喜べない。

「ハァ...んだよ、それ......」

不意に聞こえたその声は、ここにいる筈のない人の声で...。

A「...っ！？ なっ、何で...？」

見上げた先にあったのは、心底呆れた様子の達さんの表情だった。

達央「信長と呑み行ってたら水野から連絡来てた。お前とここにいるって」

A「な...っ！？」

驚いて柚紀さんを見遣ると、けれど悪びれた様子もなくニッコリと笑って返された。

達央「てゆうか、何だよホント...」

「ハァァ...」と脱力してしゃがみ込む達さん。

顔は見えないけど、怒ってる訳では無いみたい...？

達央「馬鹿だろ、ホント...。俺はただ、お前といたかっただけなのにさ...」

A「...っ！」

テーブルに突っ伏したままこちらをチラリと見て、達さんは言う。

達央「一ヶ月休みもらったとしても、その間お前と会えねぇなら毎日徹夜のが良いっての」

...そんなこと、真面目な顔で言わないでくださいよ...。

拗ねてた自分が恥ずかしくなる程に、達さんは存分に私を甘やかして、諭してくれた。

大好きだ。馬鹿。

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