幸せの涙 ページ15
"アフレコ現場で倒れたって、前野から電話貰った。"
A「...っ!?」
その言葉に全てを思い出して、私は思わず飛び起きた。
...飛び起きようとした。
けどそれを分かってたように、達さんが私の両肩を掴んでベッドに押さえた。
達央「起きんな馬鹿。熱あんだから寝てろよ」
A「でも...っ」
達央「『でも』じゃねぇよ。お前が意識なくして倒れたって聞いた時、俺がどんだけビビったと思ってんだ」
A「...っ」
それは、今までに見たことがない、剣幕な、それでいて苦しげな達さんの表情だった。
もし私が達さんの立場で、もしも達さんが倒れたって聞いたら...そう思ったら、胸が痛かった。
A「ごめん...なさい......」
それ以外の言葉が、出てこなかった。
達さんを怒らせた。
けれどそのことよりも、達さんを悲しませたことが哀しかった...。
無理しているのも、体力が限界なのも分かっていた。
分かっていた、筈だったのに...。
達央「泣くなよ、バーカ。謝って泣くくらいなら、ちゃんと休めよな」
そう言った達さんの声はいつにも増して優しくて、私はまた、泣いた。
そんな私の頭をずっと撫でて、震える手を掴んでくれていた暖かな温もりが、一人じゃないと教えてくれる。
それが何より嬉しくて、幸せだと思った。
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あお(プロフ) - ミトさん» はい!楽しみにしてきますね!( ̄^ ̄)ゞ (2018年9月23日 22時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
ミト(プロフ) - あおさん» お褒めの言葉ありがとうございます! 随分と更新ペース落としていますがお付き合いくださると嬉しいです(*^^*) (2018年9月23日 18時) (レス) id: 8607c4133b (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ミトさん» 了解です!とっても面白かったです!あなたの作品を他にも読んでみよう、と思えるような作品でした! (2018年9月13日 23時) (レス) id: d740adda2b (このIDを非表示/違反報告)
ミト(プロフ) - あおさん» 初めまして。コメントありがとうございます。そのあたりは個人の価値観の差があるかと思いますが、例えば複数の音から一音のみを聴き分けたり、ふとした拍子に聴こえた音が何かを判断できるのは私としては特技と言って良いのではと思い書いた次第です。 (2018年9月13日 10時) (レス) id: 8607c4133b (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - あの…楽器聞き分けたり人の声聞き分けたりするのって、特にになるんですか…?ずっとみんなできるんだと思ってましたが… (2018年9月12日 23時) (レス) id: 059f3fc3b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミト x他1人 | 作成日時:2017年4月4日 10時