【ポケモン】ポケモンの私と、人間の貴方と *second* 【名前固定】 (ページ7)

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第五十五話　シュランページ7

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ゆったりと、自分の唯一の居場所だった反転世界を泳ぐ。クシナダ様は、瞳をキラキラと輝かせながら、辺りを見渡す。

「ギーラ様、私、子供の頃お話で聞いた反転世界に行ってみたくて、その日一日中湖を見てたんです。結局行けなくって、怒られちゃったんですけど……ちょっと面白かったです」

クシナダ様には、そんな事があったのか。そんな昔のクシナダ様の事を話してくれて、私は少し嬉しかった。昔の貴方を知れて。そう思うと、心の中が不思議とポカポカと、温かくなっていく。その温かさが、じんわりと心の中を満たしていく。

「ギーラ様！次は向こうに行ってみたいです！」

クシナダ様はそう言って、東の方向を指を指す。その言動が、幼い子供の様でとても微笑ましかった。クシナダ様にも、このような一面があるんだな。そう思ってしまうと、自然と笑みが零れる。

私はクシナダ様の指さす方へ、ゆっくり、ゆったりと泳いで行った。

その東の方向を泳いでいると、辺りは氷の柱が多くなってきた。周りには、水の球体がふわふわと浮いている。

『楽しいですか？クシナダ様』

テレパシーで、私の言葉を伝える。その言葉は、脳で響く。

「はい、とても楽しいです……！反転世界って、とても神秘的な場所なのですね……！」

私はその言葉に、とても嬉しさを感じた。何故なら、人間たちは反転世界を怖がるからだ。何故か根も葉もない噂話をそのまま鵜呑みにする。反転世界は、怖くない。死体もないし、人間を食べるような悪魔もいない。なのに、怖がる意味が分からなかった。

だから、クシナダ様がそう言ってくれたことに、とても嬉しさを感じたのだ。

『そう言ってくれて、とても嬉しいです……』

私はそう言って、すぐそこの地面に着地する。

『ここの地面は普通の世界よりも重力が少ない所です。少し、遊んでみてはどうでしょうか？』

私がそう言うと、クシナダ様は、恐る恐るジャンプをする。すると、ふわっと体が浮き、少しの間、浮いていた。クシナダ様は、顔を輝かせた。

私はそれを見ているだけで、とても幸せで、楽しかった。