砂糖が3つ ページ3
手を掴んだのは金髪の男だった。
ずっと無言か一言しか話さなかった彼がなぜ。
「こん人体調悪そうやからはよ帰らせよう」
「えっそうなの？大丈夫？俺送ろうか？」
肩に手を置いていた男が覗き混むように顔を近づけてくる。
咄嗟に目を瞑ったが金髪の男は私の腰に手をまわしその男から遠ざけてくれた。
やだイケメン…けど腰はどうかと思うよ金髪くん。
「お前酒飲んでるやろ、タクシーが1番手っ取り早いしこの人も安心して帰れる」
「知り合いがいる方が安心しない？」
お前とは知り合い以下だよだなんて言えないから大人しくしときますはい。
「んな訳ないやん、お前もうちょい考えろよ。だからこの前の課題レポートでせんせーに事が性急すぎてわけがわかりませんってコメントもらうことになったんやで」
「ちょっそれ言わないでくれよ！はいはい彼女は任せますよーだ、じゃあまたねAさん」
『お疲れ様です』
なるほどあれが彼のデフォなのかと思うも嫌ではあったためまたねに返事をせず帰ることにした。一生会いたくねぇわ。
鬱島もおつかれーと手を振りまた女性組と話をしだした。
ほんと飽きないなぁ。
「タクシー呼んだからこっちに」
『あっお気遣いありがとうございます』
どうやら彼は私のために電話でタクシーを呼んでくれたみたい。なんて優しいんだろう、容姿と中身が全然違いすぎて思考がバグりそうになるけど。
すぐにタクシーが来て金髪くんがドアを開けて私を後部座席に座らせる。
しかも荷物も持ってくれていたなんてやだスマートすぎでは？
「んじゃゆっくり安静にな」
『色々してくださりありがとうございます』
「かまいませんよ、あいつにはきつく言っとくんで」
『是非お願いします』
「ははっ、んじゃお疲れ様ですー」
『お疲れ様です』
気の抜けたような彼の笑顔を最後に私は家に向かった。
その後私の荷物から交通費と書かれた付箋がついた五千円札と捏島孝行という名前と電話番号が書かれた紙を発見しまた彼と出会うのはそれから1週間した後のお話。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
