Playing With Fire. １

抑えきれない想い 6 ページ47

「もしもし。……え？今からですか？」




今すぐ来い。



そんな電話がかかってきたのは、夜、家にいる時だった。




相手は、かなり酔っているらしい社長。




断ることもできず、私は社長がいるクラブに行くことにした。





******************


言われて来たそのクラブは、私なんかじゃ到底入れないような高級クラブ。



外にいる男性に声をかけると、社長が言っておいたのか、簡単に中に入ることがてきた。





案内された個室に入ると、空の瓶やグラスを机一面に広げて、酔い潰れた社長がいた。





「社長……？」




肩に手をかけて起こすと、社長がゆっくりと机に倒していた上半身を上げた。




隆「A……」




「どうしてこんなに飲んだんです？タクシーを呼びますから、もう帰りましょ？」




隆「Aｯ……」





社長を立たせるために腕をつかむと、名前を呼ばれて抱きしめられた。





「社長ｯ…離してくださいｯ……」



隆「嫌だ…離さない、絶対……」



「社長ｯ……」




私を力強く抱きしめる社長の声は、今まで聞いたどの声よりも切なく、愛おしかった。




隆「A……ｯ…好きだ……」



「ｯ……！？」




私を抱きしめたまま、耳元でそう言った彼。




耳には彼の熱っぽい息がかかって、騒ぐ心臓に余計波を立てる。




「嘘、ばっかり……」



隆「嘘じゃない……」



「…社長には…ｯ…婚約者がいるじゃないですか……」

抑えきれない想い 7→←抑えきれない想い 5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す