Playing With Fire. １

すれ違い 1 ページ38

「社長には、今日のこと話さないでください。」



日「だけど……」



「もうこれ以上、期待したくないんです。」



日「わかった…」



「それでは……」




副社長を置いて、1人で社長室に戻る。





「…バカだなぁ……なんでｯ…いっつもこんな恋しかできないの……？ｯ…ｳｯ…ﾋｯｸ」




誰もいない社長室に、鼻をすする音と、嗚咽の声が響き渡る。




止めようと思っても、なかなか涙は止まらずに流れ続ける。




すると社長室の扉が開いて、社長が戻ってきた。




「ｯ！…お疲れ様です、社長…」




急いで涙を拭いて、顔が見られないようにお辞儀する。




隆「…顔を上げろ。」



そう言われ、倒していた腰をあげるものの、顔は下に向けていた。



隆「…俺を見ろ。」



「ｯ……」



隆「A。俺を見るんだ。」




社長は、わかってて言ってるんだ。



私が泣いてるって。



しかたなく、顔を上げて社長を見る。




隆「…！何があった…？」



「何でもありません…ご心配なく…」



隆「どこがだ！」



社長は怒ったように言うと、私の左手を掴んで引き寄せた。




「ｯ……！…離して、ください……」



隆「嫌だ。」




あなたのその、"嫌だ" って言葉が好きだった。



私を求めてくれてるみたいで……。




だけど今は……苦痛でしかない。





「ｯ…やめてください！」



叫んで掴まれた手を振り払う。

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