Playing With Fire. １

あいつの元カレ 2 西島side ページ30

隆「で？あいつ誰なの？」



「え…？」




会社に戻って来て、社長室に入った瞬間、ずっと気になってたことを聞いた。




隆「浦田直也。」



「あ…その、元彼…です…」



隆「は？」




やっと治まりつつあった嫉妬心が、その一言で元に戻ってしまった。



いや、それ以上かも。




「キャッ…！」




Aを社長室のドアに押し付けて、両手を右手でひとまとめにする。




隆「あの会社をやめた原因ってあいつなの？」



「それはｯ……」



隆「図星か。それで？久々の元彼との再会はどうだった？」



「社長ｯ…」



隆「見つめあって…ドキドキした？」





違う。こんなこと言いたいんじゃない。




ただ…俺だけを見て…そう言いたいだけなのに……。




「そんなことｯ！ありません…」



隆「どうだか。」




俺の口は言う事を聞いてくれない。




どんどん涙に濡れていくAの目を見る度に、心が軋んで辛いはずなのに……





俺の唇が紡ぎ出すのは、Aを傷つける言葉だけ。




「どうしてっ…こんなこと…」



隆「ｯ……」




自分への歯がゆさから、Aの頭の横にある左手を、扉に打ち付ける。




Aが大きく肩を揺らすのがわかった。




「ｯ…社長…？」



隆「ｸｿｯ……」




Aの手を離して、逃げるように社長室を出た。

あいつの元カレ 3 西島side→←あいつの元カレ 1 西島side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す