Playing With Fire. １

元カレと社長 1 ページ26

運「着きました、社長。」




社長はゆっくり目を開けて、頭を上げる。




隆「お前は俺の隣で、堂々としてればいい。わかったな？」




「はい、社長。」





社長は私に笑いかけると、手を離して車を降りた。





私も続いて降りると、社長の隣に並んで、辞めたはずの会社に入る。




入口では見覚えのある顔ぶればかりが揃っていた。




嘘でしょ……




課「これはこれは、西島社長。わざわざお越しいただき、ありがとうございます。
私は経理課の課長を務めています、園田と申します。」




そう言って社長に名刺を渡したのは、私が所属していた経理課の課長。




何でよりにもよって……




課長の隣には、もちろん……




浦「担当の浦田直也です。」




名刺を渡す直也の姿。




元から下がっていた視線が、一層下がっていくのが自分でもわかった。




そうすると社長が、私の存在を知らせるように名前を呼んだ。




隆「A、おふたりの名刺を持っていてほしい。あとで会社で預かる。」



「ｯ…はい、社長…。」




思い切って顔を上げ、社長の手から名刺を受け取る。




私の顔を見た社長は、よくやった、そう言うように口角を上げた。





課「…！君は、一之瀬さんじゃないか！」



浦「Aｯ…」



「お久しぶりです、園田課長…浦田さん…」



浦「ｯ……」





課長と直也の後ろにいる社員たちが、コソコソ話すのがわかる。





隆「すみません、彼女は新人であまり慣れていませんので。」




課「ああ、いいえ！では、行きましょう！」

元カレと社長 2→←社長のアプローチ 3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す