Playing With Fire. １

社長のアプローチ 3 ページ25

隆「次の予定は？」



「えっと…11時から、壱山観光社との…打ち合わせが…」




手帳にのるその名前を見たとき、思わず口ごもってしまった。



そういえば、今日だったっけ……




隆「壱山観光社？お前の勤めていた会社じゃないのか？」



「あ、はい…」



隆「…お前は会社に残ってもいいぞ？別のやつを連れて行っても… 「大丈夫です。」



「私は社長の秘書です。…私情を挟むわけにはいきません。」




私の勝手で、社長に迷惑はかけられない。




隆「そうか…。ならもう行こう。」



「はい、社長。」





車に乗り込んで、社長の隣に座る。




「ｯ……」




なんだかんだ言っても、やっぱり怖い。



会社のほとんどの人が、私と直也のことを知っている。



それに何より、もしも直也と会ってしまったら……




そんなことを考えていると、不意に、社長に右手を握られた。





「えっ……」




社長は黙って、少し私を見つめると、私の肩に頭を乗せて目を閉じた。




「社長…？」



隆「寝てないんだ。着くまで寝かせろ。」



「……」





社長に繋がれた手から、大丈夫、そう言われてるように感じた。




だから私も、不安を消すように、社長の手を握り返した。





そしたら社長が、小さく笑ったように感じた。

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