奇皇后 Ⅲ ～story of Tal Tal～ (ページ10)

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110. 約束ページ10

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｢お疲れ様でした、タルタル様。｣

タル｢お前も、此度(こたび)はご苦労だったな。｣

頭を撫でながらそう言われると、思わず頬が緩む。

｢今夜はせっかく、長官が早く帰してくださったのですから、ゆっくりお休みください。｣

タル｢そうだな。お前も早く休め。
明日は一日中歩き回るからな。｣

｢え？｣

タル｢叔父上が明日一日、休みをくださった。｣

｢ほんとですか？｣

タル｢ああ。嬉しいか？｣

｢はい！｣

タル｢どこへ行きたいか、よく考えておけ。｣

｢はい！｣

私が頷けば、タルタル様は湯浴みへ向かわれた。

｢…ふふ。やった……！｣

私は小さく叫ぶと、急いで自分の部屋に戻った。

｢ヘス！ヘス！｣

へ｢は、はい、お嬢様！｣

｢服を選ぶから手伝って！｣

へ｢はい！｣

ヘスは戸惑いながらも、私に言われた通り服を何枚か取り出した。

｢これもいいけど、こっちも……、｣

へ｢お、お嬢様？これは一体……。｣

｢明日、タルタル様と出かけるの。
今夜のうちに服を決めておかなきゃ。｣

へ｢そういうことでしたか。｣

｢ねぇ、ヘス。
これとこれなら、どっちがいいかしら。｣

へ｢どちらかというと…、こちらの白と青の方が冬らしくて良い気がします。｣

｢そう？…そうね。これにする！｣

へ｢では、シワを綺麗に伸ばしておきますね。｣

｢お願い！次は……、｣

装飾品を選ぼうと鏡台の前に座った私を見て、ヘスがｸｽｸｽと笑う。

｢なぜ笑うの？｣

へ｢お嬢様がとても楽しそうで、私も嬉しいのです。｣

｢明日はタルタル様と二人で出かけるゆえ、チャダンと大人しくここにいてちょうだいね。｣

へ｢ご心配なく。お二人のお邪魔は致しません。｣

ヘスの言葉に私は笑うと、明日の遠出に思いを馳せた。