奇皇后 Ⅲ ～story of Tal Tal～ (ページ32)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:37,876 hit

132.目覚めページ32

*****

｢……──────、｣

目を覚ました時、そこはいつもと変わらない風景だった。

私…、死ななかったの……？

へ｢……！お嬢様！？｣

部屋に入ってきたヘスが、私の元へ駆け寄った。

へ｢よかった…、やっとお目覚めに……。｣

｢………、｣

へ｢四日もお目覚めにならず、心配でどうにかなるかと……。｣

｢…四日……、ヘス…、｣

へ｢はい、お嬢様。｣

｢父上や、兄上はどうなったの……？｣

へ｢…ｯ……丞相と、タプジャへ様はお亡くなりに…。
タンギセ将軍は未だ行方知れずで、皇后様は……、｣

｢…タナシルリが、どうしたというの……。｣

へ｢…今日、処刑されるそうです……。｣

｢…ｯ……、｣

私は重い体を起こすと、ヘスに服を持ってくるよう頼んだ。

｢…処刑場に、行かなくては……。｣

へ｢え！？いけません！そんなお体で……、
それに皇后様は、お嬢様を散々苦しめてきた方です。
わざわざ行かれる必要など……｣

｢それでも…、私の妹なのよ……。｣

へ｢お嬢様…、｣

ヘスに体を支えてもらいながら処刑場へ行くと、そこにはヤン様がいらした。

そして、黒い頭巾を被されたタナシルリが、処刑台に上がった。

タナ｢離せ！手を離せ！私に触れるな！
この国の皇后だぞ。無礼者め。手を離さぬか！｣

ヤ｢…頭巾を取れ。｣

ヤン様の指示で頭巾が外されると、民たちがタナシルリに向かって一斉に叫び出す。

｢｢ヨンチョルの娘を殺せ！！｣｣

｢…ｯ……、｣

へ｢…お嬢様、もう帰りましょう……。｣

｢…大丈夫よ、｣

タナシルリの首に縄がかけられると、床の板が抜け、少しずつ、

タナシルリの命を奪っていった。

｢…私が、殺したｯ……。｣

父上も、

弟や妹も。

｢私が……、｣

その瞬間、私は気を失った。

へ｢お嬢様！！どうすれば……、お嬢様！｣

…やっと、分かった。

私は、

私を疎むこの一族を、

この手で滅ぼしたかったのだと。

そして、

この身も一緒に、跡形もなく消え去りたかったのだと。