奇皇后 Ⅲ ～story of Tal Tal～ (ページ3)

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103. ヤンの懐妊 side Tal Tal ページ3

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タル｢徽政院(フィジョンイン)を任されたと？｣

ペ｢ああ。｣

数日後叔父上から、ヤン様が皇室の財政を司る徽政院を任されたと聞いた。

タル｢皇太后様直々にお命じになるとは……、｣

ペ｢また、一波乱ありそうだな。｣

叔父上のその言葉が現実となったのは、それからすぐのことだった。

ヤン様は内命婦の行事の縮小や廃止を決め、様々な部署に倹約の指示を出した。

さらにマハ皇子の讃仏儀式まで取りやめにしたことで、皇后の怒りが頂点に達したようだ。

タル｢それで、ヤン様はご無事なのか。｣

ヤン様が階段から突き落とされたという報告のあと、ムジンにそう問いかける。

ムジ｢それが……、｣

何か良くないことでもあるのかと眉を顰めたとき、ムジンの顔が微かに綻んだ。

ムジ｢どうやら、ご懐妊されたようです。｣

タル｢……！それは本当か。｣

ムジ｢はい、将軍。｣

喜ばしい出来事に、思わず口角が上がった。

その夜、ヤン様のご懐妊をAに告げた。

｢ヤン様がご懐妊を？｣

タル｢そうだ。｣

｢ヤン様も陛下も、さぞお喜びでしょう。｣

まるで自分のことのように喜ぶAの姿に、思わず笑みがこぼれる。

タル｢それほど嬉しいか。｣

｢もちろんです。｣

無邪気に笑うAとは反対に、私は不安を抱えていた。

かつてのパク才人のような悲劇が、起こらねばよいが……。

｢なぜそのようなお顔を？｣

タル｢…ヤン様とお腹のお子を、この手で守らねば。
だがもし私の力が及ばなかったらと思うと、恐ろしくてならぬ。｣

｢…タルタル様……、｣

Aは私の頬に手を伸ばすと、優しく微笑んだ。

｢辛いことも、不安なことも、全て私にお話しください。
タルタル様がお役目に専念できるよう、私がお支えします。｣

その言葉に、少しだけ不安が消えていくような気がした。

この者がいなければ、私は今頃どうなっていただろうか……。

Aの存在の大きさを再確認すると同時に、愛おしさがこみ上げる。

Aに微笑み返すと、私は何も言わずに彼女を抱きしめた。