奇皇后 Ⅲ ～story of Tal Tal～ (ページ13)

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113. 天罰ページ13

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それから数日後、兄上が突然私を訪ねてきた。

タン｢Aと二人で話がしたい。｣

タル｢…………、｣

｢兄の言う通りに、タルタル様。｣

タル｢…分かった。｣

タルタル様がご自分のお部屋に戻ると、私は兄上を部屋に通した。

｢突然、何のご用ですか。｣

タン｢屋敷に戻れ。｣

｢え？｣

タン｢近頃、父上のご様子がおかしいのだ。
毎晩のように悪夢をご覧になり、常に剣を抱いておられる。｣

｢父上が……、｣

そういえば、犬蠱術が失敗すれば、その呪いはかけた者の身内に返ってくるとか。

急に父上がおかしくなったのは、そのせい？

タン｢認めたくはないが、父上は誰よりもお前を溺愛している。｣

｢…………、｣

タン｢お前の顔を見れば、少しは状態が良くなるやもしれぬ。｣

｢私は…、父上を裏切った人間です。
私が行けば、兄上がお怒りを買うやも。｣

タン｢それでも構わぬ。
父上のお世話をしてさしあげるのだ。｣

｢……………。｣

どう答えるべきか分からず、私は黙ったまま俯いた。

｢……───────────、｣

兄上が帰ると、見計らったようにタルタル様が私のもとへ来た。

タル｢何の話を？｣

｢…父のことです。｣

タル｢丞相の？｣

｢タルタル様、｣

タル｢何だ。｣

｢しばらく、父の屋敷に戻ってもよろしいですか？｣

タル｢なに？なぜ急に……、｣

｢どうやらタナシルリの呪いが、父上の身に降りかかったようです。｣

タル｢…そうか。｣

タルタル様はそう言うと、しばらく黙ったまま私を見つめた。

タル｢…すぐ、戻ってくるな？｣

｢はい、タルタル様。｣

その言葉にタルタル様はため息をつくと、私を腕の中に収めた。

｢私がいなくても、ご無理なさらないように。｣

タル｢心配ならば行くな。｣

｢困らせないでください。｣

滅多に見られないタルタル様の子供のような姿に、私はふふと笑い声を漏らした。