7. 獣の正体 ページ7
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ある日、珍しくヘスが風邪をひいて熱を出した。
解熱に効く薬草をとるために山の中へ向かった。
｢…なかなか見つからないわね…。｣
ここへ来てしばらく経つが、かごの中は未だ空っぽのままだ。
｢………？｣
草が揺れる音がして顔を上げると、そこに黒いものが動くのが見えた。
まさか…熊…？
それとも虎…？
恐ろしい獣の姿を想像して、ぶるっと身震いする。
近くにあった長い枝を手に取ると、それを力一杯握り締めて影の正体が来るのに備えた。
｢…ｯ………｣
そしてそれが姿を現した時、私は目を閉じて思い切り枝を振り下ろした。
｢…えぃｯ！……え…？｣
恐る恐る目を開ければ、そこにはこの間の男性がいた。
私が振り下ろした枝を片手で掴んで、怪訝な目で私を見つめていた。
タル｢お前は…、｣
｢…ｯ………も、申し訳ありません！
その、てっきり、熊か虎かと思って……、｣
タル｢獣にこんな棒切れで挑むとは、褒めるべきか無謀と言うべきか。｣
彼は呆れたようにそう言うと、私の手から枝を奪って近くに投げ捨てた。
タル｢女子がなぜこんな場所に一人で？｣
｢友人が熱を出したので、薬草をとりに…。｣
タル｢薬草？｣
男性は私の空っぽのかごを見て、小さくため息をついた。
タル｢これをやる。｣
そう言ってかごに入れられたのは、私が探していた薬草だった。
｢どうしてこれを……！｣
タル｢私が薬草を集めては悪いか。｣
｢いえ…。医学の心得が？｣
タル｢かじった程度だ。
近々大都を離れるゆえ、道中に備えていくつか薬草を集めていた。｣
｢そうですか…。
もし良ければ、お手伝いさせていただけませんか？｣
タル｢なに？｣
｢この薬草をいただいたお礼です。先日の件も含めて。｣
タル｢結構だ。お前の空っぽだったかごを見る限り、期待できそうにない。｣
｢ば、場所が悪かっただけです！｣
タル｢己の実力不足を土地のせいにするとは。｣
呆れたように呟くと、彼は私に背を向けて歩き出した。
｢ま、待ってください！｣
慌てて追いかけると、煩わしげな彼の視線には気づかぬ振りをして薬草集めを手伝った。
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琴羽(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます！！ほんとですね(--;)訂正します。ありがとうございます＜(_ _)＞ (2020年8月22日 21時) (
レス) id: e0b082d93e (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 何度も繰り返し読んでいて今気付いたのですが、37話の私は皇宮に、、のセリフですがヘスではなく夢主のセリフではないでしょうか？ (2020年8月22日 15時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
琴羽(プロフ) - はるまきさん» さらに嬉しいお言葉(*^^*) 続編も応援よろしくお願いします！ (2018年8月20日 23時) (レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
はるまき(プロフ) - 琴羽さん» いえいえ！！何回も読み返してます！！これからもがんばってください！！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: aab6168f34 (このIDを非表示/違反報告)
琴羽(プロフ) - はるまきさん» ありがとうございます〜泣 最高なんて最高の褒め言葉ですよ(≧∇≦) 更新頑張ります！！ (2018年8月20日 5時) (レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴羽
| 作成日時：2018年8月8日 9時
