16. 牡丹 ページ16
｢明日からは、ずっと大都にいらっしゃるのですか？｣
タル｢…いや、またすぐに戻らねば。｣
｢そうですか……。
そうだ…。タルタル様に、お渡ししたい物があります。｣
タル｢……………？｣
｢これを。｣
タルタル様に差し出したのは、一昨日できあがったばかりの手拭いだ。
タル｢お前が刺繍を？｣
｢はい。｣
タル｢なぜ
｢タルタル様が、牡丹のような方だと思うからです。｣
タル｢…私が？｣
｢堂々としていて、美しいとさえ思えるほどのタルタル様のお姿が、私には牡丹の花と重なって見えました。｣
タル｢お前は…、私を買い被っているようだ。｣
｢え？｣
タル｢私は、それほど立派な人間ではない。｣
｢立派な人間など、この世にはいないと思います。｣
タル｢…………、｣
｢人間ならば守りたいものがあるものです。
それを守るために、周りを傷つけるかどうか、ただそれだけのことではありませんか。｣
タル｢…おかしなことを言う。｣
｢私ごときが偉そうな口を……、｣
タル｢お前のそのはっきりとした物言いも、嫌いではない。｣
｢タルタル様…、｣
タル｢暗いゆえ、家まで送っていこう。｣
｢…よろしいのですか？｣
タル｢ならば一人で帰るか？｣
｢い、いえ……！｣
慌てて否定すると、タルタル様はつかつかと歩き出した。
タル｢毎晩来ていたのか？｣
｢はい。そういう約束でしたから。｣
タル｢お前が勝手に決めたことだろう。｣
｢ですが、こうして来てくださったではありませんか。｣
タル｢……………、｣
何も言えなくなったタルタル様を見て、私はくすりと笑みをこぼした。
｢ここです。｣
タル｢一人で住んでいるのか？｣
｢いえ、ヘスという友人と住んでおります。｣
タル｢そうか。｣
｢送っていただきありがとうございました。
タルタル様も、お気をつけてお帰りください。｣
タル｢…貰った手拭いは、大事にしよう。｣
｢はい…！｣
私は軽くお辞儀すると、去っていくタルタル様の背中が見えなくなるまで、見つめ続けていた。
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琴羽(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます！！ほんとですね(--;)訂正します。ありがとうございます＜(_ _)＞ (2020年8月22日 21時) (
レス) id: e0b082d93e (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 何度も繰り返し読んでいて今気付いたのですが、37話の私は皇宮に、、のセリフですがヘスではなく夢主のセリフではないでしょうか？ (2020年8月22日 15時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
琴羽(プロフ) - はるまきさん» さらに嬉しいお言葉(*^^*) 続編も応援よろしくお願いします！ (2018年8月20日 23時) (レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
はるまき(プロフ) - 琴羽さん» いえいえ！！何回も読み返してます！！これからもがんばってください！！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: aab6168f34 (このIDを非表示/違反報告)
琴羽(プロフ) - はるまきさん» ありがとうございます〜泣 最高なんて最高の褒め言葉ですよ(≧∇≦) 更新頑張ります！！ (2018年8月20日 5時) (レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴羽
| 作成日時：2018年8月8日 9時
