忌まわしい記憶 ページ35
***
｢お疲れ様でしたー。｣
今日の撮影が終わり、スタッフに声をかけながらスタジオを出る。
秀｢お疲れ様。ほい。｣
秀太からお茶のペットボトルを受け取りながら控え室に入る。
秀｢じゃ、ちょっとゆっくりしてて。｣
｢…どこ行くの？｣
私が座ると、すぐに秀太は部屋を出ようとした。
秀｢成田監督に呼ばれてるんだ。
次の映画のオファーじゃないか？｣
秀太は嬉しそうにそう言うと、鼻歌なんか歌いながら意気揚々と出ていった。
ヒットメーカーの成田監督のオファーが欲しい。
秀太の考えが手に取るようにわかる。
プラスになるのなら、どんな映画だって出るつもりだから構わないけど。
｢……まだ降ってるし、｣
机に突っ伏して窓の外を見つめながら、不満げにそう呟く。
｢…………………、｣
連日の撮影の疲れのせいか、そのうち瞼が重くなってきて……────、
目を閉じかけたその瞬間だった。
突然部屋の電気が消えて、辺りが暗闇に包まれた。
｢…ｯ………────────────、｣
慌てて上体を起こすと、手探りでスマホを探す。
｢……あｯ………、｣
動揺のあまり落としてしまったスマホを拾おうと、立ち上がる。
だけど足に力が入らなくて、その場に膝から崩れ落ちた。
｢…ｯ…………────────────、｣
だんだんと息が荒くなって、額に汗が滲む。
｢…ｯ………はｯ………、｣
あれから何年も経つのに、
未だにこんなことで怯えるなんて……。
自分の弱さに気づいて、乾いた笑い声が虚しく響いた。
｢……寒い………、｣
『……開けて…、開けてよ………』
『嫌…！離して…、行きたくない！』
｢…ｯ………っく……、｣
過去に置いてきたはずの忌まわしい記憶が、また私を苦しめる。
｢…たす、けて……｣
そんな言葉、誰にも届かないのに。
私を守れるのは私だけ。
そう分かってるのに、気づいたら、助けを求めてた。
いつものようにひとり寂しく呟いて、
決してこない助けに絶望して。
でもいつもと違ったのは、
私みたいに額に汗を浮かべて、息を乱したあなたが、
私を助けに来てくれたこと。
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琴羽(プロフ) - ふみさん» はい！早く書けるように頑張ります！ (2018年8月15日 20時) (
レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - 続編楽しみです！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
琴羽(プロフ) - 由希さん» 課題頑張ります笑 できるだけ早く続編書けるといいんですが…… (2018年8月15日 19時) (レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
由希(プロフ) - 続編楽しみにしてます。課題頑張ってください! (2018年8月15日 18時) (レス) id: ec5f86864e (このIDを非表示/違反報告)
琴羽(プロフ) - ゆなさん» いえいえ！大丈夫です笑 楽しんでいただけてるみたいで良かったです。更新頑張ります！ (2018年8月9日 18時) (レス) id: aa9346f6a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴羽
| 作成日時：2018年7月15日 10時
