気象系歌物語 (ページ10)

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メリークリスマス 10 (終) ページ10

とにかく…何か言わなきゃって思ったんだけど…
何も…言えないから…

君の手をできるだけ優しくつかんで…ゆっくりとひく。
そのまま抱きしめる。

…自分でも何してんだよって思ったけど
もう、体が…勝手に動いていて//
このあと…どうしようかと迷う。

─と、ふわっといい香りがして
君の腕が俺の背中にまわった。

……え、これって……
ちょっとだけ、自信がわく。

呼吸を整えて。
ゆっくりと口を開く。
「メリークリスマス」
抱きしめる腕に…力がこもる。

「サンタさん……」
君の声が耳をくすぐる。
「サンタさんの名前…聞きたいな……」
「え……」

心なしか…マフラーからはみでた君の耳が、ほんのり染まっている。

「私の名前…教えるから。連絡先も…聞いていい？」
「え……//いや…あ…、うん//」
「ふふ…サンタさん、ありがとう//」
「ん……//」

サンタさん…ありがとう。俺も心のなかでつぶやく。
今年は素敵なクリスマスになりそう……
そんなことを思って、俺はもう一度彼女を抱きしめた。
メリークリスマス Fin.