気象系歌物語 (ページ8)

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メリークリスマス 8 ページ8

「吉田さん、あの、あそこいた子って…」
「あぁ、彼女？引っ越しの支度するから、今日は来ないって。」
「え……」
「最初から、そう言われてたから…まあ仕方ないよ。そういえば、さっき挨拶に来てたよ？」

吉田さんが、まだ何か言っているようだったけど……もうそんなこと俺の耳には届いていなかった。
引っ越し……あの子が？
まだ………名前も知らなくて。
……何も始まっていないのに。

「え、ちょ、君、どこいくの？」

なんだか胸がきゅうってなって
こんな感覚初めてで。
気がついたら……俺は走り出していた。

バイトを抜け出して……
サンタの格好のまま。
人混みを…掻き分けて…かきわけて…
誰かにぶつかったけど…
すみませんっていいながら走って……
急いで…もう夢中で…

今会えなかったら…もう二度と会えない気がして。

君に──逢いたくて。