気象系歌物語 (ページ23)

今日:9 hit、昨日:4 hit、合計:2,103 hit

hit the floor 12 (終) ページ23

ブーッ……

突然、携帯がなった。
いきなりなったものだから、二人でびくっと反応してしまった。

ちょっと場が和む。

…どうやら鳴っているのは君の携帯のようだ。

『えっと……誰から……？』

「あ……彼…から……」

返事をきいたとたん、ふ、と嫉妬のようなものがこみあげた。

携帯を握る君の手を……自分の手で包みこむようにして携帯の電源を切る。

『今は……今は忘れて。』
「っでも……」
『……僕だけを見て。』

何かを決心したように、君の瞳がうなずく。

真っ白な肌。

君の…露わに見せたその背中を、誰にも触れさせたくない……と思う。

僕以外の誰も見ないで。
……他のことを気にしないでほしい…

そんな、自分勝手な欲求があふれる。

ちらっと窓の外を見た君。

その頬を壊れないように優しく包んで…
僕と向き合わせる。

窓の外は…気にしちゃだめなんだ。

……二人を引き裂く罠があるから。

このまま……ずっと、永遠に二人でいられたらいいのに……。

隣で天使のような寝顔を見せている君に、

僕はもう一度、静かにキスをおとした。

Fin.