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hit the floor 3 ページ14
「だめですよ！」
『気にしないでください。…僕がそうしたいんです。』
こんなことしか…してあげられないから。
心のなかでつぶやく。
「すみません…ほんとに、ありがとうございました。」
『いえ…また、いつでもどうぞ。』
彼女は心底申し訳なさそうな顔をして謝ると、ふわっと髪をゆらして店を出ていった。
わずかにのこった、彼女の優しい香りが僕の鼻をくすぐる。
…素敵な香りだな、と思った。
彼女の飲み終えたワイングラスを片付ける。
……彼女はまたここに来てくれるだろうか。
さっきの悲しげな表情が頭を横切った。
僕は…なにもできなかったな……
はぁ…とため息をついて、ふと彼女の座っていた椅子に目をやる。
───そこには腕時計があった。
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作者名：おーみゃ | 作成日時：2020年1月3日 15時
