気象系歌物語 (ページ13)

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hit the floor 2 ページ13

ふっと目が合った。
心なしか、彼女の瞳が少し潤んでいるように見える。

──でも、一瞬だけ合った目はすぐにそらされてしまった。

「悩みごとなんて…なにもないです」
『…そうですか。失礼しました。』
「いえ…」

ふふっと笑う彼女。でも、その笑顔はやっぱりどこか寂しげだな、と思った。

しん…とする店内。
結構前からカウンターにいたお客さんが一人、帰っていった。

なんだか…空気が重い。
僕はこういう、なんともいえない空気が昔から苦手だった。

「すみません…なんか(笑)」

どうやらお客さんである彼女に気を使わせてしまったようだ。
…自分から話題をふっておいて、店員失格だな…と思う。

『ワイン…いかがでした？』
「おいしかったです。とっても」
『あ…じゃあ、そのワイン、僕からのプレゼントにさせてください。』

彼女の目がちょっと大きくなる。