Ep.2 ページ2
教科書もノートも筆箱もなんも持っていないという樹くんに絶望感を覚えた。
結局教科書もルーズリーフもシャーペンもすべて貸した。
樹「ねぇねぇ、北斗、」
北斗「なんかわかんないとこでも……ある、の？」
樹「これこれ」
そう言われてトントンとシャーペンで叩いた場所を見ると、下手くそな犬(？)のような絵が描いてあった。
北斗「これは……犬、なの？ってか、これ俺のノーt」
樹「猫」
北斗「え？」
樹「これ猫なんだけど」
北斗「ｸﾞﾌｯ、ｹﾎｯｹﾎｯ」
樹「おい、大丈夫かよ……」
(無理だろこんなん……wこれほんとに猫か？w足5本生えてるし……w)
北斗「……ｯﾌｯｸｯｸw」
樹「お前思い出し笑いしてるだろ、」
北斗「これどうみたって……w猫じゃないだろw」
何気に初めてだ、思ってることを素直に言うのは。
いつもいつも周りにどう思われるか怖くて考えを言葉にすることができていなかった。
でも樹くんになら……
先生「お前らまじでうるせぇw」
樹「なんもしてないっすよ笑」
(もう先生と仲良くなってる……すごいな……俺にもこんぐらいコミュ力あればなぁ、)
俺の悪い癖だ、すぐに自分を責めてしまう。
すぐに他人と自分を比べてしまう。
樹「北斗？授業終わったべ？」
北斗「ねぇ、樹くん、気になったんだけどさ、俺以外に友達作らないの？」
樹「！？！？！」
(え、なんかめっちゃ喜んでんだけど……)
樹「北斗〜！俺北斗の友達か！！！嬉しいな！」
北斗「あぁ、うん。」
樹「友達欲しいけどさ、みんな俺のこと避けてるというか……なんというか……」
(あぁ、そうか。樹くんはまだ気づいてないんだ。)
俺が通っている学校はド田舎にあるから東京から来た樹をみんなは避けているのだろう。
(別に同じ人間ってことには変わりないだろうが、)
樹「北斗？どした？考え事？」
北斗「あぁ、えっとね、多分なんだけどね、樹と絡みずらいんだと思うよ……樹くんって陽キャって感じだし……」
樹「別にそんなことないよ笑そっかぁ、片っ端から話しかけようかな…」
(そんなことしたらもっと避けられるわ笑)
樹「今俺のこといじったろ……」
北斗「な、なんでわかったの？」
樹「顔。」
北斗「え？！そんなに顔に出てた……の？」
樹「もっとグイグイ来いよ！！」
北斗「そんなこと言われたって……」
樹「ん？」
北斗「今日会ったばっかだよ!!!!!!!」
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作者名：成瀬 李杏（なるせ りおん） | 作成日時：2022年5月4日 0時
