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『えっと…次は、どっち?』
「あ、次は…その交差点を左です」
『ん、ひだりね』
Aさんを歩いて送る道中、
駅からはまだ2〜3分くらいしか離れてないけど、
ずっと細い道を右や左へ曲がってばかり
それで少し思った事
なんか…うちのマンションへの近道と似てない?
というか、まんまそうなんだけど。
まさかね?
と思いつつ細い路地裏みたいなところを
ゆっくり進んでいく俺たち
小さなコンビニを通り過ぎたあたりで
「あ、と…ここで大丈夫です!もうすぐなんで、」
『え、でも…』
「あと30秒くらいで着くので…」
『あ、そう…?』
30秒ならむしろ前まで送ってくんだけど?
いや…というか嫌なんか。家知られるの
まぁ、そうだよな…
会社の人に、しかも今日はじめましての
対して仲良くもない人に知られるのもアレだしね。
『じゃあ…気を付けてくださいね?』
なんとなく腑に落ちたところで
彼女に別れを告げる
「はい!本当にありがとうございました。
それに…楽しかったです。」
…なにが?って思ったけど。笑
『なら良かったです…じゃあ、また来週』
まぁ、Aさんがそう言うなら
「はい!おやすみなさい」
『おやすみなさい、』
小さくお辞儀をして、遠慮がちに手を振る姿を見送る。
ちょっと可愛いな…なんて思ったけど
その気持ちも直ぐに、彼女の姿と共に暗闇に消えてった。
さぁて…
『俺も帰ろ、』
こんどは自分のマンションに向かって歩き出す。
ちなみにうちのマンションも
ここから歩いて30秒ぐらいなんだよね…じつは。
『…意外と、近所に住んでたってことか、』
まぁ、今まで部署も違ってたし
彼女はうちの会社に、中途採用で入ってきたって言ってたから
同期の集まりにも当然いないし
『案外、どこかですれ違ってるよな…』
お互いが気付いてないだけで、
そーこーしている間に見えてきたマンション
エントランスに入ると
何やら宅配ボックスの前で、
やたらデカいダンボールに苦戦している様子の
見覚えのあるシルエット。
ま、さか…
『…え、Aさん?』
「え?あ、ジミンさん…」
…てこと、は
「ジミンさん、も…このマンションなんですか?」
『…う、ん』
彼女と俺は、ご近所さんどころか
同じマンションの住人だった。
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作者名:ののみん | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/m3884102734
作成日時:2018年6月10日 14時