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「はーい、あ。いらっしゃいませ!」
『あ、ども…おじゃまします。』
“あまり、綺麗ではないんですが”
と言って通されたのは、昨夜と同じリビング。
俺の提案に対して、一瞬迷った様子のAさんだったけど
「じゃあ、お言葉に甘えて…お願いしても、いいですか?」
と受け入れてくれたのには、内心ホッとした。
だって、これで全力で嫌がられたら
会社であった時どんな顔すればいいか分からないし。
“たぶん1時間ぐらいで終わるんで”
という言葉を聞いて、集合は11時になった。
『じゃあ…さっそく組み立てますね?』
「はい、お願いします!」
なぜか緊張してる様子のA さん。
あ…人見知りなんだもんね。
慣れるまでには、もう少し時間かかるってことか
『とりあえず、やってみるんで…
Aさんは、何か好きなことしてて良いですよ?』
緊張しながら見られてると、
正直こっちまで緊張してくるしね。笑
「え、でも…」
『ざっと見た感じ、そんなに難しくなさそうなんで。』
「じ、じゃあ…」
“ちょっとスーパーまで買い物に行ってきちゃいますね?”
と隣の部屋に財布を取りに行っちゃったAさん
え?大丈夫なの?
そうなると俺だけが部屋に残るって事になるけど、
いやね…別にもの漁ったりとかはしないよ?もちろん。
でも、Aさんとしては嫌じゃないの?
彼氏でもない男を自分の部屋に一人で残してさ、なんか見られてたら、とか…
『Aさんって…ちょっと抜けてる?というか、天然?』
テーブルの注文ミスもそうだし…
何となく勝手に、真面目でしっかりしてる人ってイメージだったけど
案外そうでもないのかも。笑
“行ってきますね、”
という声に
“行ってらっしゃい”
と言葉を返して。彼女の背中をリビングから見送る。
それだけの事なのに…
なんだか、ふわふわしてくすぐったかったのは
きっと、その時からすでに
俺が彼女のことを想い始めていたからかもしれないよね。
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作者名:ののみん | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/m3884102734
作成日時:2018年6月10日 14時