short story I

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「…あ、おかえり」






『…先寝てて良かったのに』





あの後、とりあえず時間も時間だし
お風呂入ろっか、ってなって…





“いいよ？Aが先に入っておいで？”






ってグクのお言葉に甘えさせてもらった。






でも、何となく先に寝てるのも悪くて
待ってたんだけど…





「…なんとなく」






『…そっか…じゃ、寝る？』





「…うん」






右手を引かれて寝室へと向かう。







『…はい、入って』






そう言って先にベッドに潜り込むと
私が入れるように片方だけ布団をあげてくれる





「…ん、ありがと」






空けてくれた所に私が入るなり
グクは背中を向けて寝てしまった。






「…おやすみ。」






『ん…おやすみ…』








だから私も背中を向けて目を閉じた。









だけど







「……っ」







しばらくすると、グクは体の向きを変えて
後ろから腕を巻きつけてきた






『…初めて、だよな？こうやって普通に寝るの』







確かに…







初めて来た時から
ここは私ががグクに抱かれている場所だから







「…たしかに……何かへん、だね」






だからこうして何もせず寝るのは
何だか不思議な気持ち…







『ふふ…何それ…したいって、こと？』






「ちがいますー、」





こうして意地悪っぽく言うあたり…
ようやく、いつものグクに戻ったみたい







『…あっそ…』







そんな感じて少しだけ安心したのも
つかの間…






『……今日さ……ヒョンの隣にいた人







あの人なんだ…







俺の好きな、ひと……』








「……そう、だったんだ…」







やっと分かった理由、







グクが苦しいほど想い続けている人は
ユンギの彼女だったんだ。







『でも、さ…大丈夫だと思ってたんだ……
今日は…Aも、いるし






だけど…やっぱ目の前で見てたら







すんげーイライラしてきて…







何で…俺じゃないの？って…







可笑しいよな……嫉妬する権利なんて、ないのに』








まるであの時の私の心を代弁しているようで
胸が苦しくなる






『だから、ごめん…あんなに酷くして、』






「ううん…」




いいの…





だって痛いくらいに分かるから。





「怒ってない、よ？それに…




いいよ…酷くても…




わかるから、グクの気持ち」





『…A』






「…だから…抱い、て？わたしを






酷くてもいい…グクに、なら」






『…っ』

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