差し出された手に 弟者 ページ25
次の日の早朝。
昨日飲みに飲んだ友人は二日酔い用のドリンクに頭痛薬達に埋もれてデスクにうつ伏せていた。椅子を引く音でまるでゾンビの様に頭をあげた。
｢昨日、どうだった？｣
まさかそんな事を聞かれると思ってなかった私は一瞬口を開けた後"まぁ、楽しかったよ"と言った。人数合わせに呼んで終始放置したくせにアフターケアは意外としてくれるんだ、と項垂れる彼横目に淹れたての珈琲を啜った。
｢弟者とは？｣
｢弟者さん？知り合いなの？｣
｢え……まぁ、…少し？｣
明らかに動揺を見せたが私もある種の二日酔いみたいなもんで問いただすのも面倒臭いし適当に促した。
｢別に、面白い人だったよ。
連絡先交換したし｣
｢まじで！よかっ……や、そうなんだ！｣
スマホに表示されるのは昨日弟者さんから送られてきたメールの1部。昨日の飲み会の事から少しだけ話したゲームの話、それともっと話したいからまた今度会わない？という類のお誘い。
ちなみに私はまだ返事を返してない。
｢A…、ちゃん…！あの、さ。連絡先、聞いていい？｣
お開きになった少しあと、これからどうやって帰ろうかと店の前で迷っているとスタホを握りしめた弟者さんが口を結んで訊ねてきた。
｢え…あ、うん。もちろん！｣
実は私ももっと話したいと思っていたし、ちょうど良かった。なんて思いながら交換完了の合図を待っていた。
｢……はぁ。ほんと良かった｣
胸を撫で下ろす素振りを見せた弟者さんに私はつい首を傾げる。
｢実は、Aちゃんにずっと連絡先聞きたいと思ってて…もし良かったらだけど俺と、デートにでも行かない？
いきなり言われた迷惑かも知れないけど、多分俺Aちゃんに一目惚れ…してるから｣
"デート"
長らく聞くことのなかった甘い響きだと他人事みたいに思った。結局"デート"に"一目惚れ"という無縁に近い言葉を2つももらい昨日はろくに寝れなかった。
｢良い奴だろ？弟者｣
友人の声ではっと、現実に戻される。
良い奴…、
｢そ、だね。いい人だと思う｣
｢Aちゃんぎこちない？｣
あんなイケメンに全面に好意をだされて気にならない女の子はいないでしょう、と良い意味の溜息をついてスマホに目線を落とした。
"もちろん私も行きたいです！"
何度も書いては消したメール。エラーで届かなかったらいいのに、なんて思いながらボタンをタップした。
【END】
今回の友人は自分勝手な人でしたがうーん。書きわけが…難しいよ。こんなので短編かけるのか！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朔(プロフ) - 白銀卿さん» コメントありがとうございます。曲と被ってるってなんか少し恥ずかしいですね(笑)相変わらずの更新速度ですがよろしくお願いします。 (2017年6月8日 20時) (
レス) id: b25981f686 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - ぽむさん» コメントありがとうございます。書いた甲斐がありました！需要あるんですね(笑)ネタが溜まったら書くかも、です(笑) (2017年6月8日 20時) (レス) id: b25981f686 (このIDを非表示/違反報告)
白銀卿(プロフ) - 49日目の嘘とホントのある一文と俺の知ってる曲の一部分が重なっているように感じながら読んでました。更新お疲れ様です。次も楽しみにしてます。 (2017年6月7日 23時) (レス) id: 4697ccbf74 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - いつも読ませていただいてます！本当に素敵な作品ばかりで…三人称さんの小説は私というものに需要がありますよ笑ぜひ読みたいです^^ (2017年6月7日 22時) (レス) id: 3b5acabf2f (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - anna o-さん» そう言ってもらえて書いてて良かったって思います！中々大変な道のりでしたね、それでもあっただけラッキーですよ(笑) (2017年6月2日 11時) (レス) id: b25981f686 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔 | 作成日時：2017年5月12日 13時
