【2BRO.】愛の色【SS】 (ページ46)

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｢待ちつかれたよ。｣弟者ページ46

～Otozya side～

どうせ家に帰ってもおついちさんも兄者も買い物に出てるから夜まで居ない。暇だし、この前のお詫びも兼ねて兄者にコーラでも買って帰ろうか、と家の近くにあるコンビニに立ち寄った。

｢…あ｣

コンビニの屋根の下に立っている女の子。
頭から爪先までびしょ濡れで髪の毛から雫がぽたぽたと垂れてコンクリートの床に水玉模様を作ってる。肌にぴたりとくっつくとブラウスには見覚えがあった。

｢………Aちゃん？｣

声をかけられて気まづそうに顔を上げたのはやっぱりAちゃんでえへへ、と頬を掻いた

｢傘…弟者くんに返すのしか持ってきて無くて…自分の分忘れちゃったんだ。あはは、ドジだよねぇ｣
そう言えば会ったとき俺の傘しか持ってなかった。てっきり折りたたみ傘を持ってきてるんだと思ってたけど…濡れた寒さからか"くしゅん"とくしゃみをして鼻を啜ったAちゃんに着ていたパーカーを貸した。
俺は"風邪引いたら困ると思うし"なんて言ったけど本当は濡れて肌が透けたAちゃんの服に目のやり場が無くて困ったから。あと他のやつに見られたくなかったから。…彼氏でもないのにそんな事言ったら引かれそうだったから黙っといた。

｢あのさ…濡れたままだったら風邪引くと思うし、Aちゃんの家ここから遠いでしょ？もし良かったら俺の家に来ない？シャワー浴びて身体温めた方がいいかなって｣
Aちゃん家がここから遠い事はさっきの店で話してる時に聞いてたし、心配しているのは本当。でもAちゃんは言葉を濁した。

｢……あ、べ、つに変な事しようとかじゃないから！本当に…Aちゃんに風邪引いて欲しくないっていうか…！｣
慌てて弁解する俺に何故か吹き出すようにAちゃんは笑って
｢大丈夫だよ、そういうんじゃなくて弟者くんから沢山借りちゃって悪いなって思って。それに弟者くんがそんな人じゃないのは分かってるよ……じゃぁお言葉に甘えてシャワー借りようかな｣
嬉しい様な悲しい様な言葉だったけどどっちにせよ家に来てくれることが嬉しくて頬が少し緩んだ。

｢じゃ、行こ！風邪引いちゃダメだし｣
閉じた傘をまた開いて、少し狭いけど2人肩を寄せあって俺の家に向かった。