【2BRO.】愛の色【SS】 (ページ37)

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ガラスの靴は砕けたおついちページ37

【おついち彼女設定ホワイトデー企画】

職業柄おついちさんは人からモテる。デザイナーという職業はお洒落で綺麗なお姉さん方を虜にする要因の1つになるらしく年がら年中モテモテ。
もちろんバレンタインなんかは玄関が埋もれるほどチョコを持って帰って、甘い物なんか大して好きでも無いくせに"女の子達に悪いから"と苦い珈琲と共に飲み込んでいる。私はそれを何年も見ていたからやっと叶った"彼女"という称号を手に入れてもチョコをあげる気にならなかった。
結局あげたのは市販の小さいブラックチョコ、嬉しそうにでも少し残念そうに受け取ってくれたおついちさんの表情はここ1ヶ月ぐらいずっと頭にこびり付いている。

おついち:Aちゃん今何してる？ホワイトデーのお返し渡したいから行っていいかな？

時計は夜の10時を指している。紳士で律儀なおついちさんの事だからきっと美味しいチョコでも持ってきてくれるだろうな、そんな気持ちで"テレビ見てました！待ってますね"と短い返信を打った。

それからおついちさんがインターホンを押すまでは短くて、車で来ても30分はかかるのに今日は珍しくその半分くらいの時間でインターホンが鳴った。

｢はーい。｣

高い音で鳴るインターホンみたいに胸がドキドキして苦しい。彼女になった今でもおついちさんに慣れることの無い私には毎回毎回が初デートみたいで心臓が大きな音を立てる。

勢いよく開けたドアの向こうにはおついちさん。ではなく満開の薔薇。数えるのが億劫になりそうなぐらいの本数が目の前に咲き乱れる。
｢はい、僕のお姫様。ホワイトデーのお返し。｣
素敵な笑顔で玄関に大量の花束を置いたおついちさんは驚いて声も出ない私の事なんて無視して淡々と話を進めていく。
｢これ108本あるんだよ。集めるのが中々大変で時間かかっちゃった。｣
108本…また微妙な本数だな、と上手く整理出来ない頭の片隅でぼんやり考えた。
｢………ねぇ、108本の薔薇ってどういう意味か分かる？｣
急に真剣な声音で喋り出すもんだから私も神妙な顔つきになって首を振った。

｢"結婚してください"ってことなんだよ？Aちゃん…僕と結婚しよ、駄目？｣
跪いてポケットから指輪を取り出した。後に"俺がデザインしたんだよ？"と言った指輪。首を振るなんて選択肢私には無い。だから必死に頷いて

｢喜んで…！｣

【END】