【2BRO.】愛の色【SS】 (ページ30)

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まどろみはぬるく兄者ページ30

【同級生設定】

高いビルに沈む太陽を背景に2人並んで土手を歩いていた。両手にはスーパーのビニール袋が握られていて、歩く度にシャカシャカと擦れる音がする。
｢今日はおっつんが来るから鍋がいい！｣
そんな弟者の一言から家で暇そうにしていた私と兄者が買出しに行く事になった。多分私が兄者の事を好きだと知ってる弟者が気を聞かせてくれたから。
時間もあるんだし遠回りして帰ろうよ、そんな私の提案に顔色一つ変えずに頷いた。

｢悪いな、仕事休みだったのに呼び出して挙句の果てには買い物についてきてもらってよ｣
申し訳無さそうに眉を下げた兄者の横顔を私はずっと眺めてた。スッと伸びた鼻筋に切れ長の青い瞳その上に重ねられた黒いサングラスが様になってる。嗚呼、格好良いな。兄者ともし付き合えたら…
｢…好き｣
"別にいいよ"そう言おうと思ってぼんやりと開いた口は自分の本音を呟いた。しまったと思った時には既に遅く兄者の申し訳無さそうだった表情は驚きに変わっていた。
｢まじ…で？｣
小さく、でもハッキリと聞こえたその声に私は頷く事しか出来ないでいた。言葉は無くて、2人の影がゆっくりと伸びていくだけだった。
私に"好き"と突然言われて何を思ったんだろう。悪い方ばかりに考えてしまって上手く顔すら見れない。なぜかポタリと涙が落ちて、地面に染みた。

｢ちょ…泣いてんのか…俺が泣かしたみてぇじゃねぇか。
あのさ、俺もAの事好きなんだけど。今日も弟者に頼んで買い物Aについてきてもらってんだぜ？それでもまだ泣くか？…とりあえず泣きやめ｣
目元に強引に兄者のセーターの裾を当てられた。そっと見上げた表情は夕焼けのせいか赤くなってた。

｢おい…ニヤニヤすんな｣
｢へへ、だって兄者も好きって｣
｢…うるせぇ｣

泣き顔とは一変ニヤける私の頬を抓ると塞がっていた両手のビニール袋を盗られた。

｢ん、両手塞がってたら手繋げないだろ｣
私より少し先に進んだ兄者が手を差し出して良く似合うサングラスの奥で笑っていた。

｢うん！｣

【END】