【2BRO.】愛の色【SS】 (ページ21)

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君に囁く愛など、おついちページ21

【君が囁く愛など、おついちside】

～Otuiti side～

＿＿＿初めて君を見た時から僕は一生懸命な姿に恋をしてたのかも、なんてたまに思うよ。

楽しく過ごした大学生活も終わり今日から新社会人として念願の先生になった僕は緊張のあまり寝れない夜を過ごして赴任1日目に遅刻、そして事もあろうか迷子になってしまった。

(1日目にして遅刻か…やっちゃったな)

強く吹いた風に帽子が攫われそうになるのを必死で抑えてると、頭上から桜がハラリ、と舞った。それが綺麗で空中で桜の花弁を掴むと春の陽気に連れられて微笑みが零れた。
｢あ、あのっ！道に迷ってるならわ、私が教えますよ…｣
茶色の鞄を強く握り締めた様子の女の子は制服に身を包んでいて、道に迷う僕に親切に道を教えてくれた。

勤める学校とその子の通う学校はたまたま同じで、担当を持つクラスにその子がいた。
｢おついち先生！おついち先生！｣
何時もその子は僕の仕事の手伝いをしてくれた。質問も沢山しに来てくれた、休んだ時は心配になって、誰もいない準備室はとても静かで物足りなさを感じた。その時もしかして僕はその子の事が"好めき"なんじゃないかってぼんやり自覚した。
でも所詮は先生と生徒。仲のいい友人に相談しても"おついちさん、それはないよ～"とカラカラと笑われた。

｢あれ、Aちゃん？もう帰っちゃったのかと思ったよ。｣
そんな半端な想いを自覚しながら迎えた卒業式の日。何人かの女の子に告白されたけどやっぱり思い浮かんだのはAちゃんの顔で"ごめんね"と眉を下げた。そしてその度に"この子がAちゃんなら＿"そう思った。

｢お、おついち先生！あの、私…ずっと先生の事好き、でした。最後に…気持ちだけでもって、さ、さようなら！｣

"好きでした"？僕の事が？ほんとに？でも僕とAちゃんは先生と生徒だよ。大丈夫？歳も離れてるし…そんな頭に浮かんだ様々な疑問より身体と口が先に動いた。

｢まって！先生も…いや、僕もAちゃんの事ずっと好きだったから！でも先生と生徒だから言うつもり無かったのに、そんな事言われたら言うしかないね｣

引き寄せて握った手は想像していたより柔らかくて、胸に寄せてふわりと香った匂いは優しい匂いだった。

｢僕と付き合って？｣

【END】

卒業シーズンだったので"卒業"をテーマに。
急いで沢山書いてしまった…