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ひだまりに似た温もり 弟者 ページ3

【弟者彼女設定】

「んー、寒い」
両手を擦る様にして暖を取りながら弟者を待つ午後2時。本当の待ち合わせは午後1時のはずだったけど寝坊した弟者のせいで既に1時間オーバー。
余りの寒さに耐えきれず自販機で買った温かい珈琲はもう空っぽ。カイロも手袋もない私は時折手に白い息を吐いた。

「お姉さん、さっきからずっと1人で何してんの?俺達とお茶でもどうよ」
チャラいを具現化した様な2人組が馴れ馴れしく私の手を掴んだ。いわゆる"ナンパ"ってやつか。小さく溜息をついて人待ってるんで、と掴まれた手を払った。
「そんな事言わずにさぁ、奢ってやるから」
奢ってくれたらついて行くとでも思ってるの?ていうか私がそんな女に見えるわけ?抱き寄せられた肩を強めに押し返した。
「しつこい男ってモテないって良く言いますよね」
皮肉をたっぷり込めた言葉のプレゼント。顔をしかめた2人組は今にも私に殴りかかってきそう。何よ、今さっきまでナンパしてたくせに。振り上げられた手に反射的に目を瞑った。

「そんなにお茶行きたいなら俺と行くか?ん?」
私より遥かに高い身長に低めの声、急いで来たのか息が少し荒いし髪の毛が所々跳ねたまま。
「だめよ、今日は私とデートでしょ。寒かったから早く行こ」
私を殴ろうと振り上げた男の手は弟者が掴んでいる。コートの裾を軽く引っ張ると頬を膨らました。こうすると大体弟者は私の言う事を嬉嬉として聞いてくれる事はよく分かってる。

「あのな、Aは美人だし、性格いいし、優しいし、可愛いし…自分がモテるって事いい加減自覚しろよ。俺もおちおち彼氏やってられないよ。
あーーー、俺の彼女が可愛いっていうのはいいけど他のやつにモテるのは複雑」
寝癖がついた髪の毛をわしゃわしゃと搔いて、冷たい私の手を握った。心がむず痒くて、笑みを零した。
「弟者の手冷たいから全然暖まらない」
握られた手をぎゅうと握り返す。
「手が冷たいってのは心が温かいんだって、おっつんが言ってた」


確かにそうね。
手が冷たくても貴方の優しさという名の温もりを私はよく知っている。

【END】

僕の優しきライバル おついち→←甘く溶けた悪夢 おついち



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作者名: | 作成日時:2017年2月18日 18時

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