【2BRO.】愛の色【SS】 (ページ20)

今日:22 hit、昨日:7 hit、合計:217,042 hit

予定調和の限界弟者ページ20

｢A先輩…？だ、大丈夫ですか…｣

久しぶりに飲んだ焼酎にやられた私は弟者くんに介抱されながら千鳥足で帰路についていた。
肩に回された手は正しく男の人の手でガッシリしながらも優しい手つきのそれを酔った頭の中で触れたいと思った。
まともに喋れない私に気を利かせてくれたのか弟者くんは公園のベンチに私を座らすとわざわざ水を買ってきてくれて"もし良かったら"とペットボトルの口まで開けて私に差し出してくれた。

｢あの…A先輩が酔ってる時に言うのも何なんですけど、でも俺こういう時じゃないと言えないと思って

俺…A先輩の事が好きです。｣

差し出してくれた水は地面に落ちて、乾いたそれに染みを作った。彼の独り言の様に聞こえた。きっと本人もそのつもりだったのだろうけど、私の酔った頭は驚くほど冴えていて

｢私は…よく分からない。でも弟者くんの手に触れたいと思った。それにその笑顔が自分だけに向けられるものならどれほど嬉しいか考えた事もあるよ。だからたぶん…好き、なのかも｣
殆ど無意識にそう答えた。でも驚くほどその言葉は自分の胸にスッキリ馴染んだ。

｢ほ、本当ですか？…もう今日で会えないと思ってました、でも、これからは会うのに理由なんて要らないですよね？｣
私だけに向けられたらと願った笑顔で私に笑いかけるからこくん、と小さく頷いた。

｢あの、これからよろしく…お願いします。
A先輩…や、Aさん！｣

触れたいと願った大きな手で私を抱き締めると、最後に額にキスをして、やっぱりいつもの笑顔を私に向けた。

この出来事が予定調和でない事を願う。予定調和を超えた、運命である事を切に＿＿＿

【END】